相続コラム

~相続財産(遺産)~
動産の相続

2023.06.26

相続財産(遺産)

自動車や貴金属などの動産相続と遺産分割協議

はじめに

親族が亡くなった際、被相続人(亡くなった方)の所有していた土地や建物・預貯金などの相続はもちろん、それ以外の動産についても相続手続きが必要になります。
動産とは土地建物等のいわゆる不動産と違い、自動車や家具・家電などの動かせる財産のことをいいます。 

動産と遺産分割協議

民法では、土地や土地の定着物とされる建物、樹木、塀などを不動産とし、それ以外のものをすべて動産と規定しています。(民法86条1項及び2項)
相続分野でいえば、例えば自動車やバイク、宝石等の貴金属、家財道具が挙げられます。 

では実際の相続手続きについてですが、前述のような動産においても、不動産と同様に遺産分割協議で分割方法が決定されるまでは相続人全員で共有することになります。
よって遺産分割協議があって初めて動産の所有者が確定するのです。
遺産分割協議を行うにあたって、まずは被相続人の相続財産となる動産はどれか、具体的に特定することが必要です。 

動産の分割と聞いて「どうやってわけるの?」と疑問に思われるかもしれませんが、極論をいえば相続人全員が納得し合意するような分け方であれば問題ありません。
一般的には形見分けとして「自動車は〇〇、宝石は△△」といったように各個人で分けていくことが多いですが、一方で資産価値のない動産を相続してしまう方が出てくることも容易にあります。
また家財道具を相続した場合、後々の処分費用の方が高くなってしまう可能性があり、処分費用は誰が負担するのか協議がまとまらないというケースもあります。
そのような理由で相続人間で揉めてしまい、遺産分割協議が難航することも可能性として考えられるのです。 

遺産分割協議で揉めないために

では動産を分割するにあたり、より具体的な方法についてご紹介します。

①動産の資産価値を査定してもらう

遺産分割協議を滞りなく進めるために必要なのが、各動産にどのくらいの資産価値があるのか相続人間で情報を共有しておくことです。
特に高額になる可能性がある自動車や貴金属等は、最新の市場価値を専門家に査定してもらっておくことをおすすめします。
自動車であれば使用年数等によって価値は変動しますし、貴金属についても価格変動の可能性は十分に考えられます。
被相続人が手に入れた当時の価格で遺産分割を行っても問題はありませんが、より詳細な資産価値を知りたい場合は適宜査定をしてもらった方が後々のトラブルを防ぐことができます。 

②代償分割や換価分割を検討する

さらに、動産の遺産分割において有効な手段として、「代償分割」や「換価分割」というやり方があります。
代償分割とは、簡単にいえば、動産を相続することになった相続人が何も相続できなかった相続人にお金を払うことでバランスをとる方法です。
これは不動産相続の場合にも使われる手法なのですが、例えば本来法定相続分で分割すれば取得できるはずであった資産価値分を金銭で補填する、といったような手法です。
また換価分割とは、そもそも動産自体を相続させるのではなく、動産を金銭に換えて相続人間で分配する方法をいいます。
恐らくこれが一番わかりやすい方法で、相続人間でも納得しやすい分け方かと思います。 

③将来の処分費用や売却についてもしっかり話し合っておく

遺産分割協議が終わりいざ動産の所有者となった場合に、その動産をもし処分することになれば何らかの形で処分費用が発生します。
将来的に相続動産を売却する機会もあるかもしれません。
一般的には所有者となった方が処分費用を負担しますし、売却についても所有者の権利のひとつなので自身も周囲も不満を言う権利はありませんが、トラブルが発生する可能性はゼロではありません。
もし少しでも予防線を張っておきたいのであれば、遺産分割協議の時点でその旨を話し合い、遺産分割協議書に記載しておくのもひとつの手です。 

おわりに

不動産相続も動産相続も、相続人全員が納得し合意した分割方法であれば原則として問題はありません。
被相続人の遺言書に動産について記載があればその通りに分割すればよいですし、なければ相続人間でしっかり話し合い、隙のない遺産分割協議書を作成することで後々のトラブルを防ぐことができます。
弊所では遺産分割協議書の作成についても事案に合わせて丁寧に対応させていただきますので、何かお困りの際はぜひご相談ください。 

(文責:坂本)

定額ご依頼フォーム
お問い合わせ