相続コラム

~相続登記~
複雑な事例

2023.11.13

相続登記

被相続人(亡くなった方)が海外に住んでいたときの相続登記

はじめに

「家族が海外に住んでいて、亡くなってしまったとき相続はどうなるの?」

国際化が進む現代で、海外に移住し生活することを選択される方も非常に多くなってきました。

今後、家族が海外で生活し、自分は日本に住んでいて、海外在住の家族が亡くなってしまい対応に困っている、という方も増えていくのではないかと思います。

では、被相続人(亡くなった方)が海外に住んでいた場合、相続登記手続きはどのように変わっていくのでしょうか。 

どの国の法律が適用されるのか

相続手続きを行う際注意しなければいけないのが、「どの国の法律に基づいて相続手続きを行うべきか」という点です。

基礎とする法律が定まらないと、相続人が誰になるのか、法定相続分はどのくらいになるのか、遺産分割協議の規定なども定まらないからです。

日本の法律である法の適用に関する通則法36条には、「相続は、被相続人の本国法による」と規定されているため、相続に関しては亡くなった方の国籍に基づいて進めます。

被相続人が外国籍の場合、その国の相続に関する法律の規定に従うことになりますが、被相続人が日本国籍の場合、日本の法律が適用されますので、原則として日本国内で亡くなった場合と同様の手続きとなります。

 

一方、登記手続きに関して、被相続人が日本国内の不動産を所有していた場合は、日本国内の不動産に関しては原則として不動産登記法に基づき登記手続きを進めていきます。

もし被相続人が海外の不動産を所有していた場合、不動産に関しては不動産所在地の法律が適用されることがあります。

よって海外の不動産が確認できたときは、あわせて所在地の法律を調べることが必要です。

 

国内不動産の相続登記に必要な書類を集めるには

では実際に被相続人が海外在住であった場合の国内不動産の登記手続きについて、細かい部分を解説します。

結論からお伝えすると、被相続人の方の書類を集めるのに少々手間がかかります。

 

①被相続人の住民票の除票

相続登記には被相続人が亡くなった時点の最後の住所を確認するために、住民票の除票や戸籍の附票が必要となります。

しかし、被相続人が海外にいた場合、その戸籍の附票および住民票には海外の住所地は記載されません。

また、海外では住民票と同じような公的書類を扱っている国はほとんどないため、最後の住所地を確認するためにはそれに代わる書類を準備する必要が出てきます。

その一つとして、在留証明書があり、現地の日本領事館に申請し取得します。

 

②被相続人の出生から死亡までの戸籍

被相続人の相続関係を確認し、あわせて亡くなった事実確認を行うために、被相続人の出生から死亡までに戸籍が必要となります。

しかし、戸籍制度を採用している国はほとんどないため、代わりの書類が必要となります。

代わりとなる書類として、外国の担当機関が発行した死亡証明書があります。

外国の機関から死亡証明書が発行されたら、その書類をもとに、外務省を経由するなどして最終的に被相続人の本籍地の役所において死亡した旨がデータ上に記載されます。 

おわりに

被相続人が海外に住んでいた場合、先述したように該当する法律の確認や書類の収集など、通常の相続登記よりも手間と時間を要することになります。

大使館や海外の関係機関とのやり取りが必要となる可能性があるため、弁護士や司法書士等の専門家を交えて手続きを進めることをおすすめします。

 

(文責:坂本)

 

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