相続登記
相続登記が義務になります! 義務を怠ると罰金も…早めの手続きが吉
はじめに
〇おじいちゃんが亡くなり、夫婦二人で暮らしていた家に高齢のおばあちゃんが一人で住んでいるが、登記の名義はおじいちゃんのままにしている
〇30年前に亡くなったひいおじいちゃんが所有していた土地。特に売却の予定もないので、登記はひいおじいちゃん名義のまま
このようなお客様は多くいらっしゃいます。子供や孫の世代で相続が発生したり、不動産を売買することになったりして初めて、登記手続きをしなければと司法書士にご依頼になる…というパターンです。
ところでそもそも不動産登記とは、国民の権利の保全を図り、取引の安全と円滑に資することを目的とする制度です(不動産登記法1条)。登記義務者が自分の権利の保全のための手続きを怠り取引上何らかの不利益を被ったとしても、それはある意味自業自得とも言えます。したがって、相続登記を法律上義務化するということはありませんでした。
しかし、昨今の超高齢化にともない、不動産資産の持ち主も高齢化しました。相続関係が複雑化し、所有者が誰かわからない不動産が引き起こす様々な事象が社会問題となっております。そこで国は、今までの登記制度の在り方を大きく変更し、相続登記を義務化することとなったのです。
法改正は2021年4月21日に参議院本会議で可決し、成立。この改正は、2024年を目途に施行される予定です。
相続登記の義務化について
相続登記については、相続や遺贈(相続人に対する遺贈に限ります)で不動産を取得した者が、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記が義務付けられることになります。
また、法定相続分で登記をし、その後に遺産分割をした場合は、遺産分割で法定相続分を超える所有権を取得した相続人が、遺産分割から3年以内に登記義務を負います。
「正当な理由なく」相続登記の申請をしなかった場合は、10万円以下の過料に処せられることになります。
相続登記は1日も早く
相続登記が義務化されるに伴い、相続開始後3ヶ月以内に「不動産の相続人」であることを法務局に申し出ることで登記義務を履行したものとみなす「相続人申告登記(仮称)」の創設や、遺贈による名義変更など他の相続人の協力が必要な手続きにおいて単独登記が可能となるなど、登記義務者の負担に配慮した仕組みも用意されることになりました。
このように聞くと、いざ義務化が始まってから相続登記をすればよいかと思われるかもしれません。しかし、相続登記は時間が立てば立つほど、相続関係が複雑化し、手続きがスムースに進まなくなる恐れが生じていきます。改正法の施行を待たず、1日も早いお手続きをお勧めいたします。
(文責:桃田)