相続登記
相続登記をしないと起こりうるトラブル
はじめに
相続登記に関して2024年に法律で義務化される見通しですが、現状はいつまでに必ずやらなければならない、といった決まりはありません。
実際に、「空き家だからそのままでいいか」「登録免許税を払いたくないし、大変そうだから登記はしない」など、登記手続きをせずに放置されている不動産も多く存在します。
しかし、相続登記を後回しにしてしまうと、後々「やっておけばよかった」というような事態になってしまう可能性があります。
実際に相続登記をしないままにしておくと、どんなトラブルが予想されるのでしょうか。
登記が必要になったときにはもっと大変なことに…
【トラブル①】 不動産を売却できない・担保にしたくても銀行が応じてくれない
亡くなった方の名義のまま登記されている不動産は、売却・担保にすることができません。
対外的に自己の所有にしなければ手続きを行うことができないため、各種契約の前にまず登記名義を変更する手続きが必要になります。
相続で自分のものであると思っていても対外的な証明にならないため、契約の際に余計に手間がかかってしまいます。
【トラブル②】相続人の数が増えすぎて登記手続きが困難になる
登記をしないまま数十年放置してしまうと、いざ相続登記をする際に相続人が増えすぎてしまい、相続人全員の同意(実印等)をとることや遺産分割協議を行うことが困難になってしまいます。
一度も接点を持ったこともなく関係性が希薄な相続人と連絡をとり、取りまとめることは非常に時間を要します。
とある事例では相続人が数十人に渡ったということも…。
【トラブル③】相続人の一人が意思表示できない状況になってしまった
年数が経つにつれ、場合によっては相続人の一人が認知症などの成年被後見人となってしまう可能性があります。
相続の意思表示が困難となるため、代わりに手続きを行う後見人の選定手続きが必要となってきます。
こちらもやらなければならないことが増えるので、余計に手間がかかってしまいます。
早めの登記手続きが吉
いくつか事例を挙げましたが、結論として早めに相続登記をしてしまうことが後々のトラブル予防につながります。
あわてて登記を行う必要は現時点ではありませんが、登記手続きの目安として、相続税の申告期限と同じく「所有者が亡くなった時から10か月以内」に手続きを終わらせておくのがよいと思われます。
自分の子どもや配偶者、孫など、今後相続手続きを行うであろう方々に大変な思いをさせないためにも、早めに相続登記手続きを進めましょう。
(文責:坂本)