相続登記
被相続人が所有していた山林を相続したら
山林を相続してしまった!
相続財産の中に山林が含まれていた
自分は遠方に住んでいて管理できないし、不要に思っている
山林の相続ってどうすればいいの…?
現在、日本の国土面積の約7割が森林となっています。
いざ相続となった際に、相続財産の中に地目が「山林」となっている土地があった、という可能性も大いにあります。
林業などを営んでいる場合はそのまま相続し引き続き山林を有効活用すればよいのですが、相続する山林が全く不要に感じる場合もあります。
今回は相続人の方がスムーズに山林を相続できるように、山林の相続を相続する際の流れをご紹介いたします。
~山林相続の流れ~
①名義変更のための所有者移転登記を行う
まず、登記手続きについては他の不動産と同様、相続による所有権移転登記を行います。
ここで気になるのが山林が不要であるのに登記する必要があるのか、という点です。
結論からお伝えしますが、登記しておいた方が後々必ず助かります。
登記しておかなかった場合に生じるデメリットを紹介いたします。
■デメリットの数々…!
・登記しておかないと不要な山林の売買ができない
・所有者がわからないので森林開発が頓挫することもある
・子どもや孫など次の世代に未登記のまま引き継ぐことになってしまう
・災害による撤去作業や、崖崩れ防止の工事をしたくても対応できない可能性がある etc.
相続登記は現状義務ではありませんが今後義務化の見通しもあり、登記しないことによりトラブルが生じる可能性があります。
また、次にお話しする届出において、登記手続きが重要になってくるのです。
②森林の所有者となった日から90日以内に、取得した山林のある市町村長へ届出
平成23年4月の森林法改正により、平成24年4月以降、地域森林計画の対象となっている森林の土地所有者となった場合は、所有権を取得した旨を森林の所在する市町村長へ届け出ることが必要となっています。
こちらは個人・法人、土地の面積を問わず、届け出る義務があります。
「地域森林計画区域」とは、都道府県が定める地域森林計画の対象となっている森林です。
登記上の地目が「山林」であるか否かに関わらず、取得した土地が森林の状態となっている場合には届出の対象となる可能性が高いです。
区域に該当するかどうかは、まず土地が存する都道府県もしくは市町村の林務担当部局にお問い合わせください。
さらに、この届出には期限があります。
原則として所有権取得から90日以内に届け出ることが義務となっており、届出をしなかった場合は法律上10万円以下の過料が科されることがあります。
期限までに遺産分割協議が終了し所有者が決まっている場合は、その所有者が届け出れば大丈夫です。
まだ協議が整っていない場合は、一旦法定相続人全員で共有している共有物として、相続人各自で届け出ることになります。
また先ほど届出において登記していることが重要となるとお伝えしましたが、届出の際に新しい所有者について記載されている登記事項証明書(謄本)が必要となるからです。
よってスムーズに手続きを進めるには、相続開始から90日以内に登記手続きを行い、さらに届出も終わらせておくことが大切です。
③山林を管轄する森林組合へ連絡し、所定の手続き
山林を相続した場合、森林組合に報告をすることを強くおすすめします。
森林組合に加入することによって森林の管理や売却仲介など、もし林業を営んでいなくても相続した山林の取り扱いにおいて様々な事情に対応してくれます。
自分一人で山林活用をするのは難しいので、管轄の森林組合の力を借りましょう。
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相続した山林を上手く運用することによって、不要だと感じていた土地を資産として生まれ変わらせることもできます。
すぐに相続放棄や売却を選ぶのではなく、有効活用して後の世代に資産を残す、という選択肢も一考してみてください。
(文責:坂本)