相続コラム

~相続財産(遺産)~
その他の財産の相続

2022.06.27

相続財産(遺産)

相続財産が海外にあるとき

はじめに

亡くなった方の相続財産が日本だけではなく海外にもあることがわかった場合、相続手続きに要する時間や手間が通常よりもかかってしまう可能性が高くなります。

海外にある財産を相続することを一般的に国際相続といい、国際相続に強い弁護士等や現地の専門家に協力を仰ぎ、ひとつひとつ手続きを進めていくのが基本ではありますが、今回は国際相続の特徴についてご紹介していきます。

また、海外の預貯金口座相続については、別途コラムがありますのでそちらをご参照ください。 

国際相続の原則は「法の適用に関する通則法」

亡くなった方が海外の不動産を所有していたり、海外の居宅等のおいて資産価値のある動産を所有していた場合、国際相続手続きを進めていく必要が出てきます。

前提として、その国の相続関係私法(日本であれば民法等)を確認し、相続においてはどの国の法律に基づいて手続きすべきか調べることが大事です。

 

まず国際相続における下敷きとなるのが、日本の国際私法である「法の適用に関する通則法」(以下、通則法と記載)です。

通則法第36条には「相続は、被相続人の本国法による。」と規定されており、亡くなった方の国籍に基づいて遺産分割方法を決定していきます。もし二重国籍であれば亡くなった方が長期間住まわれていた国に基づいたり、密接な関係にある国の法に基づいたりもします。

例外として、海外不動産を相続する場合は、国によってはその不動産の所在地における法律を適用することが法定されているところもあります。

このように不動産とそれ以外の財産を分けて考える国としては、例えばアメリカやイギリス、中国などが挙げられます。 

 

国際相続の注意点

①プロベート手続きが係るかどうか

現状多くの国では基本的に日本の相続手続きと同じような規定を採用しており、遺産分割協議を行ったり遺言書に基づいて手続きを進めたり、海外とのやり取りは必要になりますがそこまで複雑に進んでいくことはないかと思います。

しかい、特定の国では非常に時間と手間のかかる「プロベート」という相続手続きが必須とされており、これが国際相続において厄介なのです。

 

プロベートとは、相続手続きを裁判所を通して行うことを指し、アメリカやイギリス等の国で採用されています。

大まかに説明すると、裁判所がその相続手続きにおける代表者を決定し、代表者が財産調査や税金申告を進めていき、最終的に裁判所がOKを出せばやっと財産が承継されるというものです。

裁判所が関与してきますので、現地の弁護士に依頼をする必要があり費用がかさむこと、手続き完了まで数年かかってしまう可能性があることが懸念点です。

プロベート手続きが関わってくる国に財産をもつ方は、なるべく生前のうちに処分しておいた方が賢明かもしれません。

 

②海外の財産についても相続税が課税される可能性がある

相続税についても国際相続は考えることが多くなってきます。

基本的に海外にも相続財産がある場合、日本のものと併せて相続税の課税対象となります。

また現地の税制度も調査する必要があり、現地の規定に従い税を納める必要があります。

二重で課税されているときは外国税控除が適用されるので、余計に多額の税金が課されることはありません。 

おわりに

国際化が年々進んでいる昨今、海外に財産を保有しているという方も少しずつ増えてきていると思います。

先述してきたように、国際相続の手続きは一般の方にとっては無理に等しい専門性の高い手続きになりますので、基本的に国際相続に強い弁護士等の専門家に相談することをおすすめします。

 

(文責:坂本)

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