2022.06.27
相続財産(遺産)
相続されない一身専属権とは?
はじめに
相続が開始した場合、亡くなった方の財産や権利等が包括的に承継されることになります。
一方で、亡くなった方の権利の中に相続されないものがあることをご存じでしょうか。
今回は相続の対象にはならない「一身専属権」についてご紹介します。
一身専属権とは?
「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものはこの限りではない。(民法896条)」
一身専属権とは、その権利や義務の性質上、本人のみに帰属すべきと考えられている権利を指します。
個人の人格や才能、個人としての法的地位との間に密接不可分な関係にあるため、他人による権利行使を認めることが不適切な権利義務が一身専属権に該当します。
一身専属権には具体的に下記のようなものが挙げられます。
①死亡が原因で消滅すると法定されている法律関係
代理関係、委任関係、雇用関係、使用借権 等
②身分法上の権利とされるもの
夫婦間の同居協力の権利義務、扶養請求権、離婚請求権、認知請求権 等
③社会保障上の権利とされるもの
生活保護受給権、各種年金受給権 など
記載したような一身専属権は相続されず、本人の死亡により権利や義務は消滅します。
おわりに
相続が開始した際、故人のどの財産や権利が相続となるのか、慎重に判断していく必要があります。
特に社会保障上の権利である生活保護受給権や年金受給権については、実際に金銭を受け取っている関係で、相続財産になりそうな気もしますが、あくまで一身専属権であり相続財産とはなりません。
いざ相続手続きが始まったときのために、知識として覚えておくとよいでしょう。
(文責:坂本)