相続コラム

~相続に関する税金~
相続税

2023.07.31

相続に関する税金

生命保険、遺族年金等は相続税の対象となるのか

はじめに

生命保険金や遺族年金は、ある人が亡くなった後にその遺族の方が生活を維持していくために必要な資金ですが、相続税の課税対象となるものもあります。

本稿では、課税対象となるもの・ならないものについてそれぞれご紹介します。 

相続税の課税対象となる死亡保険金

被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部又は一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となります。

この死亡保険金の受取人が相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は除く)である場合、全ての相続人が受け取った保険金の合計額が次の算式によって計算した非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になります。

500万円 × 法定相続人の数(※1・2) = 非課税限度額

なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税の適用はありません。

※1.法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。

※2.法定相続人の中に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。 

相続税の課税対象になる死亡退職金

被相続人の死亡によって、被相続人に支給されるべきであった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与(これらを「退職手当金等」という)を受け取る場合で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものは、相続財産とみなされて相続税の課税対象となります。

退職手当金等とは、受け取る名目にかかわらず実質的に被相続人の退職手当金等として支給される金品をいいます。したがって、現物で支給された場合も含まれます。

また、死亡後3年以内に支給が確定したものとは次のものをいいます。

1.死亡退職で支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定したもの

2.生前に退職していて、支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定したもの

相続人が受け取った退職手当金等は、その全額が相続税の対象となるわけではありません。全ての相続人が受け取った死亡退職金等の合計額が、次の算式によって計算した非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になります。非課税限度額は次の式により計算した額です。

500万円 × 法定相続人の数(※1・2) = 非課税限度額

なお、相続人以外の人が取得した退職手当金等には、非課税の適用はありません。

※1.法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。

※2.法定相続人の中に養子がいる場合の法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。 

相続税の課税対象にならない遺族年金

厚生年金や国民年金などの被保険者であった人が亡くなったときは、遺族の方に対して遺族年金が支給されます。また、恩給を受けていた人が亡くなった場合には、遺族の方に対して遺族恩給が支給されます。次の法律に基づいて遺族の方に支給される遺族年金や遺族恩給は、所得税も相続税も課税されません。

国民年金法、厚生年金保険法、恩給法、旧船員保険法、国家公務員共済組合法、

地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、旧農林漁業団体職員共済組合法

また、これらの法律に基づいて支払を受ける年金の受給権者が死亡した場合で、その死亡した人に支給されるべき年金給付のうちまだ支給されていなかったもの(未支給年金)があるときには、その受給権者の遺族で一定の要件に該当する人がその人の名前でその未支給年金の支給を請求することができます。

この遺族が支払を受ける未支給年金は、その遺族の固有の権利に基づいて支払を受けるものですので、その遺族の一時所得の収入金額に該当します(これらの法律の規定により課税されないものは除く)。 

相続税の課税対象になる遺族年金

個人年金保険の被保険者(年金受取人)が死亡し、遺族の方が個人年金保険の年金受給権を取得した場合には、被保険者、保険料の負担者及び年金受給権の取得者が誰であるかにより、年金受給権の取得者に対する課税関係が異なります。

1.死亡した人が保険料の負担者であった場合

→相続により取得したものとみなされて相続税の課税対象となります。

2.死亡した人及び年金受給権の取得者が保険料負担者ではない場合

→贈与により取得したものとみなされて贈与税の課税対象となります。

また、遺族の方に支給される以下の年金なども、相続税の課税の対象になります。

1.確定給付企業年金法第3条第1項に規定する確定給付企業年金に係る規約に基づいて支給される年金

2.所得税法施行令第73条第1項に規定する特定退職金共済団体が行う退職金共済に関する制度に基づいて支給される年金

3.法人税法附則第20条第3項に規定する適格退職年金契約に基づいて支給を受ける退職年金 

おわりに

以上、死亡保険金・死亡退職金・遺族年金について、相続税の課税対象となるか否かご紹介いたしました。一言に保険金・退職金・年金と言っても、その種類や給付方法は様々です。国や企業から受け取った資金が相続財産に該当するのか、また他の税の課税対象となるのかどうかということを、一般の方が自分で判断することはとても困難かと思います。お困りの際は、是非経験豊富な専門家へご相談ください。

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