相続コラム

~相続登記~
複雑な事例

2023.08.21

相続登記

被相続人(亡くなった方)が外国籍であるときの相続登記

はじめに

「亡くなった人が外国籍のときは、通常の相続と何か変わってくるの?」

配偶者や相続人の中に外国籍の方がいるとき、相続手続きが通常よりも難しくなってしまうのかどうか、該当される方は気になる点だと思います。

今回は相続登記を中心に、相続に外国籍の方が関わる場合の相続手続きをご紹介します。 

どの国の法律を適用するかは被相続人がカギ!

結論からお伝えすると、法の適用に関する通則法という法律があり、被相続人(亡くなった方)の本国法が適用されることになります。

法の適用に関する通則法第36条では「相続は、被相続人の本国法による」と規定しており、被相続人が外国籍であれば、本籍のある国の法律に基づいて相続手続を行う必要があります。

つまり、誰が相続人となるのか、法定相続分はどうなるのか、遺言の書式について、など相続手続きの進め方が違ってくるのです。

よって、まずは被相続人の方の対象となる相続法を調べることが手続きの第一歩です。

 

また外国籍である場合、多重国籍を認める国や条件付きで容認する国もあるため、複数の国籍を持っている可能性もあります。

法の適用に関する通則法第381項では、2つ以上の国籍がある場合、「その国籍のうちのいずれかが日本の国籍であるときは、日本法を当事者の本国法とする」と規定しています。

いずれも日本の国籍でない場合は、複数の国籍の1つにその人の常居所があるときはその国の法律を適用し、常居所がないときは最も密接な関係がある国の法が適用されます。 

登記手続きは日本の法律が適用される

一方で被相続人が日本の不動産を所有していた場合の相続登記手続きに関して、こちらはあくまで日本の法律上の手続きとなりますので、日本の不動産登記法を適用して行います。

注意点として、外国籍の方がいる場合、登記申請に必要な書類が通常と異なってきます。

例えば相続登記を行う際、相続人を確定するために被相続人と相続人の戸籍が必要になりますが、外国では戸籍制度自体がない国もあり、戸籍の収集がそもそも不可能です。

そのため、相続関係を確認する書類として戸籍に代わるものを準備する必要があります。

戸籍に代わるものとして利用されるのは、出生証明書や死亡証明書、公証人の認証を得て作成される宣誓供述書などです。

戸籍に関する書類は各国様々ありますので、こちらも相続登記の際は確認する必要が出てきます。

さらに、取り寄せた書類が外国語で記載されている際は、書類を日本語に翻訳して訳文を提出することも求められます。

 

また、印鑑を利用する文化がない国では、印鑑証明書の提出ができないような場合があります。

この場合は、サイン証明書等の特別な証明書を提出することになります。 

先述したような代替書類を準備できれば、あとは不動産登記法に従い通常の相続登記と同様に処理を進めていけば大丈夫です。 

おわりに

外国籍の方が相続に関与する場合、通常の相続と異なる点が多く、他国の法律の確認や書類の収集などより専門的な知識が必要となってきます。

可能であれば弁護士や司法書士を交えて相続手続きを進めることをおすすめします。

該当される方はぜひお気軽にご相談ください。

 

(文責:坂本)

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