2023.10.02
遺産分割
法定相続情報一覧図とは?
はじめに
法定相続情報一覧図とは、簡単に言うと相続情報を法務局が認証してくれた書類で、1つの相続における戸籍一式の代わりとなるものです。
法定相続情報一覧図を作成するべき人
以下のいずれかの場合には、ぜひ作成していただきたい書類です。
- 被相続人が複数の都道府県に不動産を持っている
- たくさんの金融機関を利用していた
- 相続人の数が極端に多い
相続で必要になる戸籍は、転籍の回数や相続人の数によっては大量になります。
法定相続情報一覧図はその大量の戸籍の代わりとして使うことができる書類ですので、手続きのたびに戸籍一式を提出せずに済みます。
法定相続情報一覧図には何が記載される?
1つの相続につき、戸籍・除籍から読み取れる法定相続の情報が記載されます。相続放棄は戸籍から読み取れませんので、記載することはできません。
法務局に写しの交付を依頼すると、下部に認証文と認証印が付されます。
どんな時に使う?
主に相続登記、金融機関の解約手続き、相続税の申告などです。相続手続きの際、添付書面として戸籍を求められる際に使用します。
金融機関は法定相続情報一覧図があれば、戸籍一式は提出不要としているところも多く、手続きが非常にスムーズに進みます。
法定相続情報一覧図の作成方法
- 必要書類を集める
- 法定相続情報一覧図の作成
- 申出書の記入、法務局へ提出
まず必要書類とは、被相続人の出生~死亡までのすべての戸籍、相続人の現在戸籍、住所を記載する場合は住民票などです。
注意したいのが、戸籍に証明できない期間がある場合(戦争で焼失など)、法定相続情報一覧図の作成はできなくなる点です。相続の実務上は、戸籍は生殖可能年齢以降でよいとされる場合がほとんどですから、ここは注意です。
必要書類が集まったら、実際に法定相続情報一覧図を作成します。書式はどんなものでも手書きでも構いませんが、法務省のホームページにExcelの雛形がありますので、それを利用するのが便利です。
一般的に、家系図のような形式になると思います。大きさはA4で作成しますが、最下部に認証文が付されますので、そのスペースを空けておく必要があります。相続人が多い場合は、複数枚になっても大丈夫です。
法定相続情報一覧図が完成したら、申出書に記入をし、戸籍一式を添えて法務局に提出します。
どの法務局にも出せるわけではなく、被相続人の本籍地または最後の住所地、申出人の住所地などを管轄する法務局に限られます。
申出は郵送・持参どちらでも構いませんが、戸籍一式と法定相続情報一覧図の写しを郵送で受け取りたい場合は、返信用封筒を入れておきましょう。手数料は無料なので、印紙等は必要ありません。
間違いや足りない書類がある場合は法務局から電話がかかってきますので対応します。
法定相続情報一覧図が手元に来た後
法定相続情報一覧図は、申出後も5年間は法務局で保管されますので、申出人が再度申請することで再交付を受けることができます。申出人以外の相続人は申請できないので注意です。
おわりに
法定相続情報証明制度は平成29年5月から始まった割と新しい制度で、一般の方にはあまり馴染みがないかもしれません。税理士や司法書士においては、手続きが多岐にわたる場合は代理で取得することがあります。一般の方においても、年金や保険の手続きに使えることもあるようですので、将来相続が起こった時のために、頭の片隅に入れておいて頂ければと思います。(文責:川上)