相続コラム

~相続に関する税金~
譲渡所得税

2023.11.06

相続に関する税金

土地を貸し付けて権利金を受け取ったとき

はじめに

土地を建物の所有を目的として貸し付けた場合には、借地権の設定の対価として権利金など一時金を受け取るのが通例です。この場合、受け取った権利金などの一時金は、原則として不動産所得となります。しかし、権利金などの額が相当多額であるときなど、土地の一部分を譲渡したこととその効果が変わらない場合には、資産の譲渡があったものとして分離課税の譲渡所得となります。

本稿では譲渡所得となる権利金などについてご説明します。

 

譲渡所得として課税されることとなる権利金など

次の「1.借地権等の設定の内容」に掲げるような権利の設定により受け取った権利金などのうち、「2.対価の額の要件」に該当するものは、譲渡所得として課税されるものになります。

1.借地権等の設定の内容

(ア)建物または構築物の所有を目的とする借地権の設定

(イ)特別高圧架空電線を架け渡すための地役権の設定

(ウ)特別高圧地中電線を敷設するための地役権の設定

(エ)ガス事業法第2条第12項に規定するガス事業者が高圧ガス用の導管を敷設するための地役権の設定

(オ)飛行場を設置するための地役権の設定

(カ)ケーブルカーやモノレールを敷設するための地役権の設定

(キ)砂防法第1条の砂防設備である導流堤などの設置を目的とする地役権の設定

(ク)都市計画法第4条第14項に規定する公共施設を設置するための地役権の設定

(ケ)都市計画法第8条第1項第4号の特定街区内で建築物を建築するための地役権の設定

2.対価の額の要件

(ア)「建物や構築物の全部の所有を目的とする借地権」や「地役権」の設定である場合

  権利金などが土地(転貸の場合には借地権)の時価の1/2を超えること。

  なお、地下もしくは空間について上下の範囲を定めた借地権や地役権の設定または導流堤や遊砂地もしくは河川法に規定する遊水地などの設置を目的とした地役権の設定である場合には、その土地の時価の1/4を超えること。

  ※式に表すと以下のようになります。

   その土地(転貸の場合には借地権)の時価×1/2<権利金等の額

(イ)「建物や構築物の一部の所有を目的とする借地権」の設定がある場合

  権利金などが次の算式で計算した金額を超えること。

その土地(転貸の場合には借地権)の時価

×

建物や構築物の所有部分床面積

×

権利金等の額

建物や構築物の全体の床面積

 

  ※1.土地の所有者と借地権者とがともにその土地の利用を制限される場合(既に借地権の設定してある土地の地下に地下鉄を建設する場合など)で、ともに権利金などを受け取ったときは、その権利金などの合計額を基にして、上記の計算がされます。

  ※2.借地権の設定などに際し、通常の金利よりも特に低い金利や無利息で金銭を借りるなどの特別の経済的利益を受けるときは、その特別の経済的利益の額を加えた金額で、上記の計算がされます。

 

おわりに

以上、譲渡所得となる権利金などについて簡単にご説明しました。

本稿では触れていませんが、権利金などが譲渡所得となる場合、取得費等の計算がとても複雑なものになってきます。確定申告は期限もタイトなので、こちらに該当する場合は早めに経験豊富な専門家へご相談されることをお勧めいたします。

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