相続コラム

~相続登記~
複雑な事例

2024.01.01

相続登記

誰も住んでいない空き家の相続と管理

はじめに

「親から不動産を相続したけど、特に住む予定はなく空き家になりそう…」

「遠方にある空き家の管理はどうすればいいの?」

近年空き家の数は増加傾向にあり、その扱いと管理について問題になっています。

例えば、遠方に住む親が亡くなり、親が住んでいた家に相続人が誰も住む予定がない場合、その空き家を今後どうしていくかは非常に重要な事項です。

不動産は利用していなかったとしても、所有しているだけでコストがかかってしまうので、利用しない空き家を相続してもデメリットしかない、と感じる方もいるかと思います。

今回は空き家の相続と管理、また、空き家を相続したくない場合の相続放棄という選択についても解説します。 

空き家を誰が相続するのか

相続人が1人であれば基本的にその方が空き家を相続し活用することになるのですが、相続人が複数いる場合に誰が空き家を相続するのか、処分するのであればどう処分していくのか揉めてしまうことがあります。

法定相続分で相続するのではなく遺産分割協議にて分割方法を決定する際、「空き家を相続したい」という方がいれば話は済むのですが、そういった方がいないのも可能性として十分あり得ます。

 

遺産分割協議がまとまらずに難航している場合、家庭裁判所の遺産分割調停や審判を利用し、裁判所の力を借りるのも良い手です。

裁判所が事情を考慮した上で、相続人間の話し合いを仲介してくれるものですので、より遺産分割等に詳しい裁判所の折衷案を提示してもらえます。

お困りの際はぜひ活用してみてください。 

相続放棄をするという手も…

空き家を相続したくない場合、考えられる手段として相続放棄をすることが挙げられます。

相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の遺産を「一切相続しない」と意思決定することをいいます。

相続放棄は単独で行うことができるので、他の相続人の協力は必要ありません。

相続放棄を行うためには、自分が相続人となることを知ったときから3か月以内に、家庭裁判所に必要書類を提出し、相続放棄申述受理通知を受ける必要があります。

 

注意点として、相続放棄を行うと、そもそも相続する権利がなかったことになるため、空き家や負債などのマイナス財産を相続しないことはもちろん、プラスの遺産もすべて相続しないことになります。

マイナス財産が多く、空き家を含むプラス財産が非常に少ない場合は相続放棄を考えてみてもいいかもしれませんが、プラス財産を承継した方がメリットがある場合は安易に相続放棄しない方がよいでしょう。 

空き家を承継したときはどう管理すればいいのか

では実際に空き家を承継したときの管理についてですが、利用しないからといって放置していいわけではありません。

土地建物というものは時間とともに荒廃・老朽していくものです。

もし建物を放置していたせいで屋根や壁が劣化し崩れるなどして周辺住民や通行人が被害に遭うと、管理責任を問われ損害賠償請求を起こされる可能性があります。

また、例えば土地上の樹木を放置していたことによって樹木が隣地に侵入してしまい、隣人から苦情が来ることもあります。

空き家や土地を放置することが将来的なトラブルに繋がってしまうのです。

 

管理方法について、定期的に空き家に赴き、状態を確認することが大事になってきます。

具体的には、空き家の掃除はもちろん、定期的な換気や雨漏りしていないかのチェック、可能であれば水道を通したままとし、定期的に通水を行うことが挙げられます。

適切に管理しておくことで周辺住民とのトラブルを事前に防いだり、資産としての不動産の価値減少を最低限に抑えることもできます。

自分で管理することが難しい場合、空き家管理の専門業者もいますので、業者に依頼するのもよいかもしれません。

相続人全員が相続放棄したときは誰が管理するのか

相続人全員が相続放棄をした場合、相続人不存在、という状況になります。

民法では、「所有者のない不動産は、国庫に帰属する」としており、相続人全員が相続放棄をすると、その不動産は国に継承されるのです。

ただし、不動産を国庫に帰属させる手続きを行うには、相続財産を法人化し第三者を「相続財産管理人」とする申請を行い、その不動産に相続人がいないことを法律的に確定させなければなりません。

相続財産管理人は財産の清算を行い、残余財産を国庫に帰属させます。

決して何も手続きをせず放置しておけば国に継承される、というわけではありませんので注意が必要です。

 

また、相続財産管理人が選任されるまでの間、相続の放棄をした者は「自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続」しなければなりません(民法第940条第1項)。

自己の財産におけるのと同一の注意、というのは明確に線引きすることは難しいですが、簡単にいえば自分の財産で他人に迷惑をかけない程度に、適宜管理をする責任があるということに近いです。

この管理責任を全うしていなければ、何かトラブルが起きた際に損害賠償請求等を提起されてしまう可能性があります。 

おわりに

空き家の管理については相続人間の話し合いや協力が非常に大事になってきます。

親が住んでいる建物は将来どうしていくか、相続人の誰かに住んでもらうのか、売却して処分をするのか、など、相続人間で慎重に審議していくべきです。

可能であれば普段から相続人間の連絡は怠らないようにし、いざ相続となった際にスムーズに話し合いを進められるようにしておきましょう。

 

(文責:坂本)

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