相続に関する税金
共同名義人の死亡で海外のジョイント口座を取得したときは課税されるの?
はじめに
ジョイント口座(またはジョイントアカウント)とは、2名以上で1つの銀行口座を共同所有できる銀行口座です。夫婦で作成する口座が一般的ですが、家族に限らず、友人や知人でも作成が可能です。例えば共同口座のいずれか一方のみのサインで引出ができるように設定をしていると、夫の資金を妻が自由に生活費として引き出すことが出来ます。
なお、日本の銀行では共同名義口座が禁止されているため、ジョイント口座を作成することは出来ません。
本稿では、海外のジョイント口座の相続についてご紹介します。
ジョイント口座は相続財産(分割対象財産)ではない
ジョイント口座を生存者権利取得口座というものにしておくと、プロベート(英国法系の国にある財産の相続で必要となる法律手続き)を経ずにもう一方の名義人に口座が引き継がれます。つまり日本の預金のように、相続人で分割方法を決めて、全員の同意のもとに相続手続きをするものではありません。
平成26年11月20日の東京高裁の判例でも、ジョイント口座が私法上の相続財産に該当するか否かについて、私法上の相続財産に該当しない、という判断が下されています。
ジョイント口座は相続税の課税対象
ジョイント口座は相続の遺産分割の対象にはなりませんが、一方で、相続税の課税対象ではあります。平成26年11月20日の東京高裁の判例でも、日本の課税上相続税の課税対象にはなるという判断が下されています。
その口座の資金源を拠出していた名義人、管理及び支配をしていた名義人が死亡した場合には、その拠出割合相当額が日本の相続税の対象財産となるので、注意が必要です。
おわりに
一般にジョイント口座は相続財産ではないと簡単に言われますが、これは、引き継ぐ人が自動的に決まるので相続人間での分割の対象にはならないということであって、相続税が課税されないという意味ではありません。資金を捻出していた人が被相続人であれば、被相続人の財産なので、当然課税はされますのでご注意ください。
ジョイント口座に限らず、被相続人の財産が海外にある場合等は手続きがより複雑になりますので、経験豊富な専門家へご相談されることをお勧めいたします。