相続コラム

~相続登記~
相続登記、こんな時は?

2024.08.02

相続登記

相続人申告登記とは

はじめに

本年4月1日から相続登記の義務化が始まり、亡くなった方(被相続人)が所有していた不動産の相続登記は3年以内(制度開始前に亡くなった方については3年の猶予期間内)に行わなければならなくなりました。

しかし現実的には遺産分割協議がまとまらない場合や他の相続人との連絡がとれない場合など、相続登記の準備に数年かかってしまうようなケースは多くあります。そうした場合に簡易な手続きで登記義務を履行したこととできるのが相続人申告登記です。

制度の特徴

相続人申告登記の特徴は、相続登記と異なり、相続人であれば誰でも単独で手続きができる点です。

例えば被相続人の子が数人いて、その中に連絡がつかない方がいる場合でも、申告者(相続人)と被相続人の関係を証明する戸籍、被相続人の死亡を証明する戸籍に加え、申告者の住民票があれば、他の相続人の委任状などなく申告が可能です。

これは祖父母名義の不動産についても同様です。この場合、祖父母とその子(申告者の父又は母)の関係、子と申告者の関係、祖父母とその子のそれぞれの死亡を戸籍で証明する必要があります。相続登記は当初の相続人が亡くなる度に複雑さを増して行きますので、祖父母や曾祖父母の相続手続きを行う際には、とりあえず相続人申告登記だけでも済ませるというのは有力な選択肢であると言えます。

制度を利用する際の注意点

相続人申告登記を利用する際には、これが所有権を移転する登記ではないことに留意が必要です。不動産の売却や抵当権の設定には別途相続登記が必要であり、最終的には遺産分割協議などを経て登記をすることになります。

また相続人申告登記も相続登記の期限内にしなければなりません。相続登記をしない・できない場合でも相続の開始を知ってから3年が一つの期限となるので注意が必要です。

終わりに

相続登記義務化により定められた期間内に相続登記を完了できない場合には、相続人申告登記はとりあえず義務を果たせるので便利な手続きであると言えます。一方でその効果は限定的である点には注意が必要です。

相続した不動産を売却する際などには相続登記が必要であり、相続人申告登記をしたからといって相続登記をしないままにしておくのは得策とは言えません。

相続人申告登記をしていても、ご自身で相続登記をするのが難しい場合は専門家に相談することをおすすめします。

私ども司法書士法人神楽坂法務合同事務所へ是非ご相談ください。

 

(文責:安住)

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