相続コラム

~相続財産(遺産)~
その他の財産の相続

2024.12.18

相続財産(遺産)

株式の相続を放置したらどうなるか

はじめに

亡くなった方(被相続人)が株式を持っていた場合、その株式は相続財産となります。株式を相続した場合は、名義の書き換えが必要になりますが、手続きを忘れていたなどの理由でお手続きをせずにいるとどうなるのでしょうか。

株式を相続手続きをしないでいた場合

遺産分割前の株式は相続人全員が共有する状態になります。共有の状態ではお一人の判断で売却や株主としての権利を行使などをすることはできません。
また会社が被相続人に宛てた通知(株主総会の招集など)が届かず、配当金の受け取りも無い状態が5年以上続くと、被相続人名義の株式が「株主所在不明」となってしまう可能性があります。会社は「株主所在不明」となった株式を競売や公開買い付けで売却する事ができ、手続きがされていない間に売却されていたという状況もありえます。この場合、株式の売却益は相続財産になりますが、受け取りには時効があリますのであまりに長期間お手続きを放置されていると、株式と売却益の双方を失う可能性があります。
他にも配当金の受領についても支障が生じる可能性があります。未受領の配当金は相続財産として相続することができますが、その受取については各会社の定款に受け取り可能な期間の定めがありますので、その間にお手続きをする必要があります。配当金の受取期間は3年から5年程度で設定されている会社が多く、株式から得られる利益を失わずに相続をするのであればこの期間までのお手続きが一つの目安となります。

投資信託を相続手続きをしないでいた場合

投資信託の場合、株式と異なり相続手続きをせずにいてもその権利を失う可能性は低いです。しかし相続手続きをしないと売却等で資産を活用することはできない点は共通しています。
また相続関係や相続手続きの複雑化等の一般的なリスクもあり、相続発生後に速やかにお手続きを行うことをお勧めいたします。

おわりに

ここまで見てきたように、株式等の金融資産についても相続手続を放置することのデメリットはかなり大きいといえます。しかし被相続人の金融資産の全体像についてしっかりと把握されている相続人の方は少ないように思います。近年は取引残高報告書等の電子交付が普及してきており、特にネット証券会社を利用されている方は紙の書面をほとんどお持ちでなく、ご自宅の書類を整理してもどこの証券会社に口座があるのかわからない場合も見受けられます。
ご自身の株式等について書面で残っている資料が少ない場合、遺言書を作成する又は何らかの方法で金融資産の所在をわかるようにしておかないと、相続の際に財産が発見されず長期間放置されてしまう可能性があります。一方で相続人の方にとっても口座のある証券会社がわからない、相続を放置した結果手続きが複雑になってしまうなどの問題に直面する可能性は年々高まっているとも言えます。相続財産の整理をご自身で行うのが難しいと感じた際は、是非神楽坂法務合同事務所でご相談ください。

 

(文責:安住)

定額ご依頼フォーム
お問い合わせ