相続コラム

~相続登記~
相続登記、こんな時は?

2022.07.12

相続登記

相続不動産に抵当権がついているときの相続登記

抵当権とは

抵当権とは、被担保債権(住宅ローンの支払いなど)が履行されないときに抵当権が付いている不動産を競売し換価することで、優先弁済を受ける権利を言います。

簡単にいえば、不動産を借金の担保とすることです。

抵当権付きの物件は担保される借金が返済できなくなった場合、金融機関により売却され、売却代金が返済に強制的に充てられます。

もちろん、借金を滞りなくきちんと返済している場合は抵当権が実行されることはありませんし、借金を返済すれば抵当権も解除されます。

 

また、抵当権を設定した場合はその事実を第三者が確認できるように、不動産に抵当権設定の登記を行います。

抵当権が消滅した場合にも同様に、抵当権抹消の登記を行います。

 

 

抵当権付不動産を相続したら

では実際に相続不動産に抵当権が設定されていたとします。

抵当権が設定されているということは、ローン等何らかの債務が発生しているということ。

よって抵当権付不動産を相続した際は、まず債務の詳細を調査することが必須になります。

すでに被相続人(亡くなった方)の生命保険金などで弁済されているのか、債務はまだ残っているのか、今後自分がどう動けばよいのかを決めるためにとても重要です。

 

①すでに債務を弁済している場合

債務を弁済している場合は、抵当権を設定した機関(銀行等)から抵当権解除証書等の証明書が発行されています。

まず被相続人が証書を受け取っていないか、保管していないか確認してください。

 

証書が見つかった場合は抵当権抹消登記手続きに移ることができます。

解除証書が登記必要書類となりますので、引き続き大切に保管しておいてください。

もし解除証明書類が見つからないときは再発行できる場合もあるので、一度該当の銀行等へ問い合わせてみるのがよいでしょう。

 

②債務が残っている場合

調査の結果債務が残っていた場合は、まず原則として相続人全員が共同で債務を承継することになります。

そして債権者の承諾を得た上で、債務の承継者をどのように決めていくかで登記手続きの流れが変わってきます。

 

1遺産分割協議で承継者を決めるとき

遺産分割協議にて債務の承継者が決まった場合は、相続開始時に遡ってその者が債務を承継したことになります。

つまり、単純に被相続人の債務を承継者が引き継いだ、という抵当権変更登記だけすればよいことになります。

本来であれば一度相続人全員が被相続人の債務を共同で相続する変更登記が必要となるのですが、遺産分割協議で承継者を決めてしまえばこの登記手続きが不要となるのです。

 

2債務引受契約で承継者を決めるとき

遺産分割協議で承継者を決めず債務引受契約で承継者を決める場合、登記手続きが2段階に渡って必要となります。

まず相続人全員で債務を承継することとなるため、相続人全員を債務者とする抵当権変更登記を行います。

その後、相続人の一部の者が債務者となる場合は、登記原因を「債務引受」とする抵当権変更登記を行うのです。

 

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いざ相続となった際に、相続不動産の謄本を確認したら抵当権付不動産だった…となってしまっても、慌てることはありません。

まずは抵当権の中身を知り、解除できるのであれば抹消登記を、引き継ぐ必要がある場合は段階を追って変更登記を行えばよいのです。

事情が複雑であるときなどお困りの際は、ぜひ司法書士等の専門家にご相談ください。

 

(文責:坂本)

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