相続登記
遺産分割協議による相続登記手続き
はじめに
法定相続、遺言書、遺産分割協議と、相続財産の分割方法は様々ありますが、一般的には相続人全員での遺産分割協議に因る場合が多いかと思います。
法定相続で相続財産を分けると相続人全員で財産を共有することになりますが、遺産分割協議を行った場合は各相続財産ごとに所有者を決めることができるので、後々売買を行う際など手続きをスムーズに行えます。
今回は最も一般的な遺産分割協議に因る登記手続きについてご紹介します。
遺産分割協議に基づいた登記の大まかな流れ
法定相続分とは違った形で相続登記をする場合は、原則遺産分割協議を行います。遺産分割協議は相続人全員が協議に参加し、その協議が全員が納得した上でまとまらなければなりません。
遺産分割協議の内容としては、不動産、預貯金や有価証券等の相続財産を「どの相続人がどういった割合で相続するのか」を決めます。
遺産分割協議完了後に遺産分割協議書を作成し、協議書に基づいた相続登記の申請を相続不動産の管轄法務局に行います。
相続登記が完了すると、相続不動産の所有権が被相続人から遺産分割協議で所有者に決まった相続人に移転します。
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【大まかな流れ】
①相続財産の特定
②遺産分割協議の実施(原則相続人全員参加)
③遺産分割協議書の作成
④登記申請時に協議書を添付
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今回は登記手続きについてご紹介するため、遺産分割協議の詳細や遺産分割協議書についてはここでは割愛させていただきます。
遺産分割協議を行った場合の相続登記手続き
では実際に遺産分割協議に基づいた相続登記手続きについてご紹介します。
【必要書類】
・遺産分割協議書
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の住民票
・相続人全員の印鑑登録証明書
・固定資産評価証明書
法定相続や遺言書での相続登記と大きく異なるのは、当たり前ですが遺産分割協議書の提出です。
遺産分割協議が行われたことの証明と併せて、遺産分割の内容(誰がどの割合で相続するのか)を確認する為です。遺産分割協議書には相続人全員の署名捺印が必要で、捺印は認印ではなく実印です。
また、遺言書と異なり相続人全員の戸籍謄本や住民票が必要です。
相続人全員の印鑑登録証明書については、遺産分割協議書に実印で捺印がしてあることの証明のために必要になります。これは相続人本人が遺産分割協議に参加し、分割内容に納得していることを確認するためです。
必要書類を準備し終わったら、実際に登記申請するために登記申請書を作成します。
登記申請書には、今回の相続で誰がどの割合で何を所有することになったのかを記載します。
原則として登記申請書は1つの不動産ごとに作成するのですが、管轄法務局が同じで、登記の目的」や「登記の原因及びその日付」などの記載内容が同じであれば、1つの申請書でまとめてしまうこともできます。
もし不安な場合は事前に法務局に問い合わせてみるものよいでしょう。
おわりに
今回は遺産分割協議に因る基本的な登記申請をご紹介しました。
このようにシンプルに登記できればよいのですが、そうはいかないケースがあるのが相続です。
当たり前ではありますがそれぞれの事情があるため、関係相続人が膨大になってしまったり、遺産分割協議に非協力的な相続人が出てきてしまうことも可能性として考えられます。
疎遠になってしまった親族と連絡が取れず、遺産分割協議どころではないこともあります。
不安やお困り事がある場合は、まず司法書士などの専門家に相談することが一番安心かと思います。
どんな些細なことでも、ぜひお気軽にご相談ください。
(文責:坂本)