相続コラム

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2023.01.16

相続登記

遺産分割協議をせずに相続人の1名が亡くなったとき~相続登記が一度でできる場合とできない場合~

はじめに

相続登記手続きを長期間怠っていた場合に発生してしまう複雑な事例の1つが、「数次相続」です。

これは相続人の一人が相続手続きや遺産分割協議など完了する前に亡くなってしまった場合に発生し、本来の相続とともに二次相続、三次相続といった別の相続手続きが関与していくものです。

複数の相続が関わるため手続きも複雑化してしまうのですが、場合によっては一回の登記申請で手続きを終わらせることができます。

今回はそのような数次相続における登記申請の省略をできる場合について、ご紹介します。

 

数次相続の手続きが一度でできる?

数次相続が発生した場合、基本的には一次相続についての相続登記申請、二次相続についての相続登記申請といった形で順々に手続きを行いますが、一定の条件を満たせば手続きを省略し1件にまとめることも可能です。

登記申請において申請毎に登録免許税を支払う必要があるため、申請件数を極力減らすことで負担金額を減らすことに繋がります。

 

では実際に省略できる場合ですが、結論からお伝えすると相続の中間が単独相続であるケースです。

単独相続とは文字の通り相続人が1人であることを指します。

 

 ■単独相続となり中間省略登記が原則可能なケース

  (1)中間の相続人が最初から1人であったとき

  (2)遺産分割協議や相続放棄などで最終的に中間の相続人が1人になったとき

例えば図のような事例で、父が亡くなった後に父についての相続手続きや遺産分割協議が完了する前に、相続人であるはずだった三男が亡くなった場合を見てみます。

 

(1)中間の相続人が最初から1人であったとき

図の事例で、例えば母・長男・次男が先に亡くなっており、その相続手続きはとうの昔に完了していたとします。

その後に父が亡くなった場合、相続人は三男のみとなります。

これが中間の相続人が最初から一人だったケースです。

よって父の相続手続きを怠っている間に三男が死亡した場合は数次相続は発生しますが、中間の相続人が1人のため、三男の妻・子A・子Bが直接父の遺産を相続するように申請を一度で終わらせることができるのです。

 

(2)遺産分割協議や相続放棄などで最終的に中間の相続人が1人になったとき

数次相続の場合複数の相続が関わってくるため、父の相続人である母・長男・次男とともに、原則として三男の相続人である三男の妻・子A・子Bが相続人として遺産分割協議に参加する必要があります。

その遺産分割協議の場で、例えば父の遺産はすべて三男に相続させることになったとします。

そうすると父の遺産を三男が単独相続することになり、三男の妻・子A・子Bへ遺産が移っていく流れとなり、登記申請も省略できるというわけです。

同様に母・長男・次男が相続放棄をした場合も、相続人が実質1人となりますので登記申請の省略が可能です。

 

(1)(2)のケースに当てはまる場合に登記申請書に記載する登記原因は、下記のようにまとめて記載します。

昭和〇年〇月〇日●●●●(父の名前)相続

平成〇年〇月〇日三男△△△△(三男の名前)相続

 

おわりに

数次相続が発生したとき、登記申請手続きは原則として順番通りに登記しなければならないため、一次相続についての登記、二次相続についての登記、といった形で複数申請を行う必要があります。

今回ご紹介した登記の中間省略を活用できれば手間も少なく、費用も減らすことができるので、条件に当てはまるときは積極的に活用することをおすすめします。

複雑な事例でも専門家であればよりよい手続き方法を提案できますので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

(文責:坂本)

 

 

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