相続コラム

~相続登記~
遺言書
遺産分割協議書

2023.02.06

相続登記

遺産分割協議書がある場合とない場合

はじめに

亡くなった方に遺言がない場合や、遺言があっても相続人全員が遺言と異なる相続を希望している場合には、遺産分割協議書を作成するのが一般的です。遺産分割協議書には、被相続人に関する情報や相続財産の内容、どの財産を誰がどのような割合で相続するかについてを記載します。では、この協議書がある場合とない場合で相続登記の手続きはどのような違いがあるでしょうか。

 

遺産分割協議書がある場合

遺産分割協議書に不動産についての記載がある場合には、その内容にしたがって登記の申請を行います。例えば、A不動産は長男が、B不動産は長女・次女が1/2ずつ相続する、などと記載されている場合には、A不動産をAが単独で相続、B不動産は長女・次女が1/2の割合で相続し、共有となる旨の登記です。

遺産分割協議書は申請時の添付資料として提出しますが、これには相続人全員の記名と実印での押印が必要な上、印鑑証明書も添付しなければなりません。これは、遺産分割協議書が各相続人の意思に基づいて真正に作成されたことを証明するためです。

遺産分割協議書は、全員で一枚の協議書に記名・押印する形式でも、各相続人が同じ内容の協議書にそれぞれ記名・押印し、複数枚の協議書が作られる形式でも、どちらでも構いません。相続人が異なる地方に住んでいる場合などには、作成上の便宜から、それぞれが記名・押印する形式をとることが多いようです。

 

遺産分割協議書がない場合

遺産分割協議書がない場合は、法定相続分にしたがった割合での登記申請となります。

例えば、相続人は子供3人(長男・長女・次女)のみ、相続財産はA不動産・B不動産・C不動産がある場合。

相続人の法定相続分はそれぞれ1/3ずつとなりますが、長男がA不動産、長女がB不動産、次女がC不動産、などとする事はできません。3つの不動産それぞれが、長男1/3・長女1/3・次女1/3の共有持分となる相続登記を行うのです。相続手続き後すぐに不動産を売却する合意ができているような場合には、法定相続通りの共有持分で登記を行うことが度々あります。

 

遺産分割協議書はあったほうがよい?

相続人が複数いて、相続財産として不動産がある場合、遺産分割協議書がないと法定相続分どおりの共有として登記されます。不動産が共有になるということは、管理の負担や賃料収入などの収益を分け合える点がメリットですが、処分したい時に共有者の合意が必要となる点や、さらなる相続が発生した際に意思決定や手続きが煩雑なるデメリットがあります。

また、相続財産が複数の不動産にわたる場合や、不動産以外の預貯金や株式などがある場合、その帰属について総合的に取り決めたい場合もあるでしょう。以上の点を考慮して、遺産分割協議書を作成するかしないかを検討してみましょう。もっとも、遺産分割協議書は相続人全員がこれに合意しなければ作成できませんので、相続に争いがある場合には慎重な対応が求められます。さらに、相続人間でせっかく作った協議書にわずかな誤記があるだけで、登記申請が却下される事もあります。遺産分割協議書作成の際は専門家に相談することをお勧めします。

(文責 桃田)

定額ご依頼フォーム
お問い合わせ