記載が間違っている場合の対応
はじめに
登記事項証明書を見てみたら、名義人である自分の氏名や住所の記載が間違っていた!
このような場合、記載内容を訂正するにはどうしたらよいでしょうか。
更正か変更か
このような場合、まずはどのような内容が違っているのかを理解する必要があります。間違った記載のある登記の申請の時点で、本来登記すべき内容と登記した内容が誤っていた場合は更正登記、登記を申請した時点では誤った内容ではない場合は変更登記というように、採るべき手段が異なるからです。
例えば、申請時には中野区○○町1丁目2番地に住民票があったにもかかわらず、登記の記載は中野区○○町2丁目2番地となっていた場合。この場合は、登記申請の時点で本来登記すべき内容(1丁目2番地)と登記した内容(2丁目2番地)が誤っているので、更正登記をすることになります。
一方、申請時には新宿区××町3丁目1番地に転居していたが、住民票はまだ従前の住所・中野区○○町1丁目2番地のままであり、登記も中野区でなされ、登記申請後に新宿区に住民票を移転したという場合はどうでしょう。登記手続きにおける住所は住民票上の住所(法人の場合は法務局に届け出た本店)でなされます。したがって本件では、登記申請時に中野区の住所で登記されたことは誤った内容ではありません。その後住民票上の住所が新宿区に変わっているので、更正ではなく変更の登記となります。
誰が間違えたのか
単純ミスによって誤記があり、更正の登記が必要な場合、申請書などを確認することで、そのミスは誰がしたのかを知る必要があります。つまり、申請人の記載ミスか、法務局の登録ミスか、ということです。
申請人のミスにより、申請書や添付書類の記載内容に「錯誤または遺漏」があり、誤った内容の登記がされてしまった場合には、更正登記を申請します。登記申請書と必要書類を用意して、住所地を管轄する法務局に登記を申請します。申請は、紙の申請書を作成して法務局に持参する方法のほか、郵送による申請、オンラインによる申請の方法も可能です。
申請人のミスではなく、法務局のミスにより誤った内容の登記がされている場合には、法務局が職権(職務上の権限)で更正登記を行います。例えば、登記申請人は申請書にも添付書類にも正しい会社の本店住所の地番を記載していたにもかかわらず、法務局が間違った本店住所の地番を登記したような場合です。この場合には、更正登記を申請する必要はなく、法務局がみずから登記内容を訂正します。誤記載を発見した場合、速やかに法務局に連絡するとよいでしょう。
更正登記完了後の履歴事項全部証明書
更正登記が完了すると、正しい登記内容が履歴事項全部証明書(会社登記簿謄本)に記載されます。ただし、誤って記録された登記の内容がはじめからなかったように削除されるわけではありません。履歴事項全部証明書等には、更正前の誤った登記内容の記載はそのままで、さらに更正登記をした日付と更正後の正しい内容が記載されます。
終わりに
登記は不動産の権利関係や法人の情報を示した重要なものであり、誰でも容易に内容を確認できるものです、もし間違った内容が登記されていれば、思わぬトラブルが起こるかもしれません。仮に間違いを見つけた場合には、速やかに対応しましょう。
(文責 桃田)