相続登記
法定相続分通りに相続するときの登記手続き
はじめに
法定相続分での相続とは、法律で定められている割合に従って財産を相続する形式をいいます。相続人になる者の範囲や順序が決められており、配偶者・子・父母・兄弟でそれぞれ相続割合があります。
遺言書や遺産分割協議で指定がない場合は相続人全員の共有財産ということになり、法定相続分に従う形になります。
今回は法定相続分の登記手続きについてご紹介します。
法定相続分での相続について
民法の法定相続では相続割合は下記のように決められています。
順位 |
相続人 |
割合 |
第1順位 |
配偶者、子 |
配偶者1/2、子1/2 |
第2順位 |
配偶者、直系尊属(父母・祖父母) |
配偶者2/3、直系尊属1/3 |
第3順位 |
配偶者、兄弟姉妹 |
配偶者3/4、兄弟姉妹1/4 |
子や直系尊属、兄弟姉妹が複数名いる場合は、それぞれの持分をさらに分割します。
例えば配偶者と子2人が相続人となるときは、配偶者が1/2、子が1/4ずつ相続するということです。
また、法定相続分通りの登記申請は相続人のうち1人が単独で行うこともできます。
しかし揉め事に発展する可能性もありますので、必ず事前に各相続人に連絡を取りましょう。
法定相続分の登記手続き
では実際に登記申請する場合の書類はどんなものが必要になるのでしょうか。
ここでは基本的な書類を挙げておきます。
<法定相続分の登記手続きに必要な書類>
①登記申請書
まず登記をするにあたって必要となるのが登記申請書です。
申請書の記載について、法定相続分の場合に注意すべき部分をご紹介します。
・登記の目的
登記の目的は「所有権移転」となります。
亡くなった方が誰かと不動産を共有していた場合には、「●●(被相続人の名前)持分全部移転」と記載します。
・登記の原因
法定相続の場合の登記原因は、「亡くなった年月日」「相続」と記載します。
例えば、田中太郎さんが令和3年4月27日に亡くなった場合には、「令和3年4月27日相続」と記載します。
・相続人
相続人の項目には、法定相続に従ってそれぞれの持分を記載します。
下記は配偶者と子1人の場合です。
—————————————-
東京都新宿区神楽坂△丁目〇番〇号
持分2分の1 田中花子
東京都新宿区神楽坂△丁目〇番〇号
持分2分の1 田中一郎
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・その他
該当不動産の情報については、登記事項証明書や固定資産評価証明書などの資料からそのまま記載します。
②被相続人(亡くなった方)の戸籍全部事項証明書もしくは除籍全部事項証明書
出生から死亡までの経過がわかるもの
③被相続人の住民票の除票もしくは戸籍の附票の写し
被相続人の最後の氏名住所や本籍が登記上の住所や氏名と異なる場合のみ
④相続人全員の戸籍全部事項証明書
ただし法定相続情報一覧図の写しを提出する場合は不要
⑤相続人全員の住民票の写し
ただし法定相続情報一覧図の写しを提出する場合は不要
上記に挙げたもの以外にも、司法書士など代理人に登記申請を任せる場合は委任状等が必要となります。
<登記が完了したら>
登記完了後、法務局より登記識別情報が発行されます。
こちらは後々別件で登記する際などに必要となりますので、大事に保管しておきましょう。
おわりに
法定相続分は法律に基づいて法定相続人で相続財産を共有します。
法律で割合が決められているため、他の相続人との割合交渉の目安に使用したり、もしどうしても遺産分割協議が整わない場合に活用できる相続不動産の分配方法です。
登記手続きも基本的なものとなるため、ひとつの知識として覚えておくことをおすすめします。
(文責:坂本)