相続コラム

~相続財産(遺産)~
不動産の相続

2022.06.27

相続財産(遺産)

不動産の権利証(登記識別情報通知)を失くしてしまったときの対処法

はじめに

所有権移転登記が完了し不動産の所有者となった際、所有者に発行されるのが不動産の権利証(登記識別情報通知)です。
権利証は自分が所有者であることの証明になることはもちろん、所有権移転・抵当権設定・抵当権抹消などの登記手続きでは、原則として提出しなければいけない大事な書類です。
では、もし不動産の権利証を失くしてしまった場合は、どのように対応すればよいのでしょうか。 

不動産の権利証って?

よく言葉にする不動産の権利証ですが、正式名称は「登記識別情報通知」といいます。
一枚の厚紙に不動産の情報や所有者の情報と合わせて12桁のコードが記載されているのですが、このコードは袋とじで見えないようになっています。
12桁のコードを知っている人が所有者である、という考え方の下、登記申請の際にはコードを法務局に提示する必要があります。
もしコードが第三者に知られてしまった場合は悪用されてしまう恐れもありますので、必要となるまで開けずに保管しておくことをおすすめします。 

登記識別情報通知は平成17年の不動産登記法改正後から導入された形式で、それ以前は「登記済証」という書類が権利者に発行されていました。
冊子のようになっており、不動産の情報や所有者の情報が紙面に印字されています。
不動産の権利証、と聞いて思い浮かぶのは、こちらの方がイメージしやすいかもしれません。
平成17年より前に登記されたものは登記済証しか発行されていませんので、登記で使用する際は12桁のコードではなく登記済証自体を提示します。 

登記識別情報通知や登記済証を失くしてしまった!

まず前提として、もし登記識別情報通知や登記済証を失くしてしまった場合、再発行は不可となります。

悪用防止の観点から失くしてしまったときはクレジットカード等と同様に失効させることができますので、登記識別情報通知を失くしたときはまず法務局に問い合わせて失効手続きを行うことを推奨します。 

また、登記手続きの面でいえば、登記識別情報通知や登記済証を失くした場合は「事前通知制度」や「本人確認情報の提供」等の代替手段を行います。 
事前通知制度とは法務局が登記申請を処理するにあたり、登記によって名義を失う方(売買ですと売主)宛てに名義変更に間違いがないか確認の通知を行うことです。
通知の発送日から2週間以内に書類に署名捺印し法務局に返送することで、登記識別情報通知に代わって所有者本人であることを証明することができます。

 

本人確認情報の提供とは、司法書士等の代理人が登記申請をするにあたり「所有者本人であることを確認した」旨を記載した書類を法務局に提供することです。
書類には合わせて運転免許証などの身分証明証の写しを添付します。
よって一般的に司法書士は、所有者にまず登記識別情報などの権利証を持っているかどうか確認し、本人確認情報の作成が必要であるかヒアリングを行っています。 

どちらの手段を利用すればよいのか、という点ですが、事前通知制度は2週間以内に書類に署名捺印する必要がありますので、一般的には親族間の贈与等の登記関係者が連絡を取りやすく近しい間側にある場合に利用することが望ましいです。

通常の売買契約で事前通知制度を利用してしまうと、事前通知に不備があった場合に登記は取り下げられてしまうので、関係者間でトラブルが生じることになります。
事前通知制度も有用な手段のひとつではありますが、基本的に登記識別情報通知等を紛失しているときは、司法書士や弁護士に本人確認情報を作成してもらうことをおすすめします。 

おわりに

例えば不動産売買という重大なやり取りを行い、いざ登記をするとなったときに、所有不動産の権利証がないと非常に慌ててしまうと思います。
もちろんあるに越したことはありませんが、紛失してしまったものは仕方ありません。代わりの手段はありますのでご安心ください。
司法書士にご相談いただければ、登記手続きに手を煩わせることなく安心して売買を完了させることができます。
お困り事がございましたら、ぜひ専門家に一度ご相談ください。 

(文責:坂本)

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