相続コラム

~相続財産(遺産)~
預貯金等の相続

2022.06.27

相続財産(遺産)

預貯金の相続の流れ~相続時に焦らないために~

はじめに

相続が開始した際、亡くなった方が所有していた不動産はもちろん、預貯金についても相続手続きを行う必要があります。
預貯金というものは不動産よりも普段から係る機会が多く、より身近なものではありますが、相続手続きにおいては多くの書類を集めなければならなかったり、注意しなければいけな点等もあります。
事前に知っておけば、慌てたりトラブルに繋がるのを防ぐことができますので、ぜひこの機会に預貯金相続の流れを確認しておきましょう。 

相続が開始すると口座は凍結されます

亡くなった方が保有している預貯金について、主に相続人等の申し出により対象の銀行が死亡の事実を知ったとき、銀行はその口座を凍結させます。
凍結というのは口座取引の一切を停止させることをいい、凍結されるとその後入出金が一切できなくなってしまいます。
これは遺産分割協議や遺言書などで預貯金の相続人が確定するまで口座内の金額を変動させないために行われる処置で、銀行が正式に相続手続きを受理し完了するまで凍結状態が続きます。 

ここで、「凍結されるのか!」と焦り凍結前に亡くなった方の預貯金から急いで出金等をすることはやめておきましょう。
死亡時に口座に入っていた金銭というのはれっきとした相続財産ですので、どのような意図があるにしろ出金を行ってしまうと他の相続人から横領ではないかと疑われる可能性があります。
また、相続財産を出金により取得してしまうと、後々もし相続放棄を行おうとした際に、取得が原因となって相続放棄自体が出来なくなってしまう可能性が出てきます。
相続人間のトラブル等で後になって悩むことがないよう、死亡後は亡くなった方の預貯金口座には触らない、ということを念頭に置きましょう。 

 

預貯金相続の大まかな流れ

各銀行によって細かな手続き内容は異なりますが、一般的な預貯金相続は下記のような流れで進んでいきます。

①亡くなった方の通帳等を探し、対象となる銀行を特定する
②銀行に死亡の旨を連絡する
③相続において必要になる書類を相続人間で準備し、銀行に提出する
④追って申告した払い戻し方法に沿って銀行が払い戻しを行う 

相続手続きについては、遺言書にて預貯金の相続人や遺言執行者が指定されている場合を除き、原則として相続人全員の協力が必要になります。 

基本的な預貯金相続の必要書類

では実際に手続きにおいて基本的にどのような書類が必要となるのか、遺言書がある場合とそうでない場合にわけてご紹介します。

(1)遺言書がある場合

 ・亡くなった方の死亡について記載がある戸籍謄本
 ・預貯金相続人(遺言執行者がいれば遺言施行者)の印鑑登録証明書
 ・預貯金相続人(遺言執行者がいれば遺言施行者)の実印
 ・相続口座の通帳、キャッシュカード等
 ・検認調書または検認済証明書(公正証書遺言以外の場合)

(2)遺言書がない場合

 ・亡くなった方の出生から死亡までの全ての戸籍
 ・相続人全員の現在戸籍
 ・相続人全員の印鑑登録証明書
 ・代表手続人の実印
 ・相続口座の通帳、キャッシュカード等
 ・遺産分割協議書(ある場合) 

上記のように、遺言書がある場合とそうでない場合で集める戸籍の量が大きく異なります。
相続人間での協力が必須となりますので、ご留意ください。 

おわりに

預貯金相続だけでも前述のように長い時間を要します。
もし不動産や他の遺産があるときはさらに手続きが増えていくことになりますので、相続財産が多数に渡る場合は司法書士や弁護士などの専門家に一任してしまうのも良い手です。
生前に取れる対策もありますので、あわせてお気軽にご相談ください。 

(文責:坂本)

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