相続財産(遺産)
リゾート会員権の相続
はじめに
相続財産には不動産や動産以外に、亡くなった方が使用していたリゾート会員権も含まれます。
頻繁に旅行に出かけていたり別荘を所有していたような方ですとこのリゾート会員権を使用していた可能性があり、相続では亡くなった方の権利も包括的に相続され、リゾート会員権には登記が関わることもあるので、相続人は会員権の相続も視野に入れておかなければなりません。
リゾート会員権とは?
そもそもリゾート会員権とは、会員となりリゾート施設を利用したり、リゾート地の土地や建物等を複数人で共有したりする権利をいいます。
個人で別荘を購入すると一般的に初期費用が高くなってしまったり、使用頻度が低ければ土地や建物の管理が非常に手間に感じてしまいます。
リゾート会員権を利用することで管理は施設側で担うことになったり、複数人で対象のリゾート施設等を所有し管理することになるので、より気軽にリゾート施設を楽しむことができるのです。
リゾート会員権は登記されていることも
リゾート会員権は大きく「預託金制」と「共有制」の2種類に分かれます。
預託金制は入会金や保証金などを支払うことでリゾート会員になることができるもので、会員制と聞いてすぐ思い浮かぶのはこちらかもしれません。
一方、共有制はリゾート施設やリゾート地を実際に複数人で共有し管理していくもので、通常の不動産共有と同じく対象不動産の登記簿に共有者の一人として登記されることになります。
共有状態となるため、自分の持分に応じて施設やリゾート地を利用する権利を取得することになります。
例を挙げるとすれば〇月~〇月まではAさんが利用するといった、持分に応じて使用できる月を決めて各々使用する、などでしょうか。
また退会する際は自分の持分を移転させる必要があることが特徴です。
リゾート会員権の相続税評価について
リゾート会員権の相続税についてですが、これはリゾート会員権に取引相場があるかどうかによって異なります。
取引相場とは、その会員権が売買できるのかどうかということです。
取引相場があるときには、被相続人が死亡した日の取引価格を基に、取引価格の70%相当額が財産評価額となります。
取引相場がないときは、死亡に伴う契約解除で精算金がある場合には清算金を基に財産評価額が決められます。
上記にも当てはまらないときは相続税が0円となる可能性があります。
リゾート会員権の登記手続き
では相続登記の面からリゾート会員権についてお話しします。
亡くなった方のリゾート会員権が先述した「共有制」だった場合、一般の相続登記手続きと同様に故人名義の登記を持分移転登記手続きにて相続する方の名義に変更する必要が出てきます。
一般的には共有制のリゾート会員権の場合、各運営会社が提携の司法書士を決めていますので、各運営会社の指示に従って手続きを進めていけば大丈夫です。
もし仮に特に指定の司法書士がいないときは、一般の不動産登記手続きと一緒に司法書士にまとめて依頼してしまうのもいいでしょう。
リゾート会員権を処分したいとき
いざリゾート会員権を相続したはいいものの、特に利用する可能性もなく年会費や管理費などの出費だけがかさんでしまっているというケースもあります。
契約内容によって処分方法は異なりますが、リゾート会員権を売るという面からいえば実は買い取り手というものはそうそう見つかりません。
現実的な話をすると、リゾート会員権の買い取り専門業者に買い取りをお願いするか(買い取り額にはあまり期待しない方がいいです)、運営会社と交渉を行い安価で(もしくは無償で)持分を移転させリゾート会員権を手放すといった方法が事例としては多いように思います。
また、共有制リゾート会員権の場合、共有持分放棄を登記するという方法もありますが、これには他の共有者の協力が必要となります。
共有者が多数に渡るときは手続きが非常に面倒で非現実的ですので、持分放棄手続きは手段として数えない方がよいでしょう。
このように、リゾート会員権を手放したいときは様々な方面に根気強く掛け合うことが必要になってきます。
まれに「リゾート会員権を簡単に処分できます!」といった悪徳業者もいるようですが、そこは目先の売り文句に惑わされず、慎重に判断していくことをおすすめします。
おわりに
後半の内容が少し暗い内容になってしまいましたが、リゾート会員権の利用自体にはもちろんメリットも多くあります。
リゾート会員権の相続については相続人間の遺産分割協議等でしっかりと話し合い、誰が相続するのか、一番よい相続方法はどのような形か決定していくことが重要です。
相続方法について悩んでいる方、処分に困っている方は、弁護士や司法書士に一度相談してみることをおすすめします。
(文責:坂本)