相続コラム

~遺産分割~
法定相続

2022.06.27

遺産分割

法定相続人とは? ~養子・連れ子・元配偶者・事実婚の時も含めて解説~  

はじめに

相続が開始した際、亡くなった方の遺産を誰が相続することになるのかをまず調査する必要があります。

もし亡くなった方の遺言書があれば、原則としてその内容に基づいて相続手続きを行うことになりますが、遺言書がない場合には民法に定められている「法定相続人」の規定に基づいて各種手続きを進めていくことになります。 

相続手続きはまず法定相続人の確認から始まる

実務上では、相続手続きに取りかかるにあたって、まず法定相続人が誰か確認する作業から始めます。

なぜこの作業が必要かというと、亡くなった方の遺言書がある場合を除き、法定相続分で相続するにしても遺産分割協議で相続するにしても、法定相続人の協力が必要になってくるからです。

例えば法定相続分で相続を行うとき、大前提としてもちろん法定相続人が誰かが重要になってきます。

また遺産分割協議であれば、遺産分割協議は相続人全員が参加し協議書に記名捺印をする必要があるため、もし法定相続人に漏れがあると協議自体が無効になってしまいます。

このように、まず法定相続人を確定した上で手続きを進めていかないと、後々重大なトラブルが出てきてしまうのです。

 

民法には、法定相続人は下記のように規定されています。

■配偶者について

配偶者が生存している場合には、配偶者は常に相続人として数えられます。

事実婚上の配偶者や離婚後の元配偶者は該当しないので注意しましょう。 

■子、父母・祖父母、兄弟姉妹について

これらの親族には相続順位が定められており、配偶者がいる場合は配偶者とともに相続人となります。

【第1順位】子及び代襲相続人

実子だけでなく養子や養女も含まれます。

代襲相続人とは、孫やひ孫等を指し、亡くなった方の子が先に亡くなっていた場合にさらにその子(孫)等に相続人の地位が移ります。

 

【第2順位】父母・祖父母などの直系尊属

亡くなった方に子がいない場合は父母が相続人となります。

父母がさらに先に亡くなっている場合は、祖父母が相続人となります。

 

【第3順位】兄弟姉妹及び代襲相続人

第1順位・第2順位ともに該当する者がいない場合、亡くなった方の兄弟姉妹がいれば相続人となります。

さらに兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、その子(甥や姪)が代襲相続人に該当します。

 

手続きとしては、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を全て収集し、法定相続人を確定させていきます。

よって相続手続きを行う際は亡くなった方の出生から死亡までの戸籍が必ずと言っていいほど要求されますので、相続が開始した際は手配しておくことをおすすめします。 

法定相続分とは?

まず原則として財産をどのくらい承継するかは遺言書があればその内容により、遺産分割協議が行われればその協議内容によります。

よって、法定相続分は遺言書もなく遺産分割協議も行わない場合に用いたり、遺産分割協議の分割の参考資料として用いることになります。

 

では実際にはどのくらい財産が承継されることになるのでしょうか。

法定相続人が誰であるかによって変わってきますので、基本的なものを紹介していきます。

(1)配偶者と第1順位の者

配偶者:2分の1

第1順位の者:2分の1

 ※第1順位の者が複数いるときは、上記2分の1の持分をさらに均等に分け合います。

 

(2)配偶者と第2順位の者

配偶者:3分の2

第2順位の者:3分の1

 ※第2順位の者が複数いるときは、上記3分の1の持分をさらに均等に分け合います。

 

(3)配偶者と第3順位の者

配偶者:4分の3

第3順位の者:4分の1

 ※第3順位の者が複数いるときは、上記4分の1の持分をさらに均等に分け合います。 

離婚や連れ子など少し変わった事例は?

離婚や再婚によって法定相続関係は変わってくるのでしょうか。

まず先述した通り、離婚をすると元配偶者は法定相続人ではなくなります。

一方で元配偶者との間に生まれた子どもは法定相続人となりえるのです。

その子どもは第1順位の者として扱います。

 

また連れ子がいる相手と結婚をした場合、その連れ子は法定相続人にはなりません。

連れ子を法定相続人としたいときは別途養子縁組をしなければならず、養子となれば第1順位の者として処理されます。

これは余談ですが、以前実務上で、数回離婚と再婚を繰り返しすべての配偶者(元配偶者)との間に子どもがいらっしゃる方の相続手続きを行いましたが、法定相続人の確定まで通常より日数を要してしまったことがありました。 

おわりに

相続手続きの第1歩が法定相続人の確定であることは、本記事で何度も説明させていただきました。

確定のための戸籍収集はもちろん相続人自身がやっても大丈夫ですし、司法書士などの専門家であれば戸籍の閲覧に慣れていますので職権でより早く集めていくことが可能です。

戸籍収集を含め、相続手続きに関することはぜひお気軽にご相談ください。

 

(文責:坂本)

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