遺産分割
相続放棄の流れと必要書類
はじめに
相続放棄は裁判所で所定の手続きを行うことで可能になります。
では、実際にどのような書類を提出する必要があるのでしょうか。準備する書類と、提出から終了までの流れを見てみましょう。
相続放棄に必要な書類とは?
- 相続放棄申述書
- 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
- 相続放棄をする方(申述人)の戸籍謄本
- 収入印紙(800円)
- 切手(約400円)
- 被相続人との関係により、追加の戸籍
相続放棄申述書
裁判所のホームページからダウンロードできます。難しい書類ではなく、記載例も掲載されています。
放棄の理由や相続の開始を知った日の記載に迷いがある場合、専門家に相談されることをおすすめします。
被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
被相続人の最後の住所が記載された書類です。
この住所に一番近い家庭裁判所に書類を提出することに決まっています。
相続放棄をする方(申述人)の戸籍謄本
相続放棄したい方の戸籍謄本も必要です。
マイナンバーカードがあれば、コンビニで取得できます。本籍地が遠方の場合は郵送で取得することになりますので、1週間~10日ほどかかる場合があります。
収入印紙
申述書に800円分の収入印紙を貼って提出します。収入印紙は郵便局やコンビニで購入できます。
切手
裁判所が申述人に郵便物を送付するときに使用されます。84円切手5枚ほどである場合が多いですが、裁判所により異なりますので事前に確認が必要です。手続きがすべて終了し、余った切手があれば返却されます。
被相続人との関係により、追加の戸籍
被相続人と相続人の関係及び先順位の相続人がいないことを、戸籍で明らかにする必要があります。
順位が低いほど、収集する戸籍が増えて大変になります。
例えば被相続人が配偶者または親である場合、被相続人の戸籍謄本を取得すれば配偶者・親は記載されていますので、戸籍1通で足ります。
対して被相続人が兄弟姉妹である場合、被相続人の出生~死亡までのすべての戸籍・被相続人に子がいる場合は子の出生~死亡までの戸籍などが必要になり、戸籍の収集だけでかなり煩雑になってきます。
提出方法
提出は裁判所に持参もしくは郵送にて行います。形式的な不備や不足書類があれば指摘がありますので対応します。
提出した後は?
相続放棄は、提出したら終わりではありません。
提出後、裁判所から「照会書」「回答書」という書類が送られてきます。簡単にいうと、相続放棄を自分の意思でしたのか、放棄するとどうなるのかをきちんと理解しているかの照会と、それに対する回答を記載する書類です。
回答書の記載は難しいものではないのですが、回答内容によっては放棄が認められなくなってしまう場合がありますので注意が必要です。
相続放棄の手続きは一度してしまったらやり直しはできませんので、ご自身で出来そうだと思った場合も、やはり一度は専門家に相談することをお勧めします。
放棄を証明する書類
相続放棄が認められると、「相続放棄申述受理通知書」が送られてきます。これと似た名前の書類に「相続放棄申述受理証明書」があります。
「通知書」の方は手続きがすべて終わった際に裁判所から送られてきます。一度しか発行されず、申述をした人しか受領できません。
「証明書」は、「通知書」を失くしてしまった場合や、申述人以外の方が取得する場合に請求する書類です。1通150円で、裁判所に請求します。
実務上の手続きは「通知書」で事足りる場合が多いですが、失くしてしまった場合でも「証明書」は何度でも取得することができます。ただし、「証明書」を取得するには相続放棄をした際の事件番号が必要になりますので、利害関係人の立場から請求する際は事件番号を特定するところから始める必要があります。
おわりに
相続放棄の流れと必要書類について、イメージしていただけましたでしょうか。申述書や回答書の記載は押さえるべきポイントがありますので、ご心配な方はご相談ください。(文責:川上)