相続コラム

~相続に関する税金~
贈与税

2022.06.27

相続に関する税金

贈与税はどんなときにかかる?いくら?

はじめに

贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。

また、自分が保険料を負担していない生命保険金を受け取った場合、あるいは債務の免除などにより利益を受けた場合などは、贈与を受けたとみなされて贈与税がかかります。

贈与税の課税方法には、暦年課税と相続時精算課税の2つがあり、一定の要件に該当する場合に相続時精算課税を選択することができます。本稿では、その2つについて簡単にご説明します。 

暦年課税

一人の人が11日から1231日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません。この場合、贈与税の申告は不要です。

【税額の計算方法】

その年の11日から1231日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計し、その合計額から基礎控除額110万円を差し引き、残りの金額に下表(※1,2)の税率を乗じて税額を計算します。

※1.一般贈与財産(一般税率)の場合

 兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合など。

基礎控除後の課税価格

200万円以下

300万円以下

400万円以下

600万円以下

1,000万円以下

1,500万円以下

3,000万円以下

3,000万円超

10

15

20

30

40

45

50

55

控除額

10万円

25万円

65万円

125万円

175万円

250万円

400万円

※2.特例贈与財産用 (特例税率)

直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の11日において20歳以上の者(子・孫など)への贈与の場合。

基礎控除後の課税価格

200万円以下

400万円以下

600万円以下

1,000万円以下

1,500万円以下

3,000万円以下

4,500万円以下

4,500万円超

10

15

20

30

40

45

50

55

控除額

10万円

30万円

90万円

190万円

265万円

415万円

640万円

 

相続時精算課税

相続時精算課税とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる制度です。この制度を選択する場合、贈与を受けた年の翌年の21日から315日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。

なお、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、暦年課税へ変更することはできません。

また、この制度の贈与者である父母又は祖父母が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。

【税額の計算方法】

相続時精算課税を選択した贈与者ごとに、その年の11日から1231日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から2,500万円の特別控除額を控除した残額に、一律20%の税率を乗じて算出します。

また、前年以前にこの特別控除の適用を受けた金額がある場合には、2,500万円からその金額を控除した残額がその年の特別控除限度額となります。

例)3年間で1,000万円ずつ、合計3,000万円の贈与を受ける場合

1年目 特別控除2,500万円-1,000万円=1,500万円(翌年の控除限度額) 税額0

2年目 特別控除1,500万円-1,000万円=500万円(翌年の控除限度額) 税額0

3年目 (1,000万円―控除限度額500万円)×20%=100万円・・・贈与税額 

申告と納税

贈与税がかかる場合および相続時精算課税を適用する場合には、財産をもらった人、財産をもらった年の翌年21日から315日の間に、申告と納税を行う必要があります。

なお、相続時精算課税を適用する場合には、納税額がないときであっても、財産をもらった年の翌年21日から315日の間に申告する必要があります。

税金は金銭で一度に納めるのが原則ですが、贈与税については、特別な納税方法として延納制度(何年かに分けて納めるもの)があります。この延納を希望する方は、申告書の提出期限までに税務署に申請書などを提出して許可を受ける必要があります。 

おわりに

以上、贈与税の暦年課税と相続時精算課税について、簡単にご説明しました。

生前贈与は、相続税対策として有効な手段のひとつです。しかし、ただ闇雲に自分の子どもや孫に財産を譲ってしまうと今度は高い贈与税がかかってしまい、結局損をするという事態にもなりかねません。贈与という手段を相続税対策として最大限有効に活用するためにも、是非経験豊富な専門家にご相談されることをお勧めいたします。

(文責:尾上)

定額ご依頼フォーム
お問い合わせ