相続コラム

~相続に関する税金~
その他

2022.06.28

相続に関する税金

税の申告漏れとペナルティ

はじめに

「申告漏れ」とは、単純な計算ミスや経費計上の誤りなどが原因で、納税額を少なく申告した場合を指します。税金をごまかそうという悪意がなく意図的な工作などを行っていない、単純な過失による場合です。
正しくない金額で税金を申告をすることには、そのほかに「所得隠し」「脱税」があります。この二つは、売上の隠蔽や架空経費の計上・関係書類の改ざんなど、悪意を持って意図的に行った場合になります。こちらには、申告漏れよりも重いペナルティ(脱税の場合は刑事罰)が課せられることになります。
本稿では「申告漏れ」の場合のペナルティについてご説明します。 

申告漏れの場合のペナルティ

申告漏れをしてしまった場合は修正申告や期限後申告などをして、もちろん本来支払うべき税の不足分は支払わなければなりません。さらにそれに加えて、以下の「加算税」と「延滞税」が追徴課税されます。 

加算税

1.過少申告加算税

期限内に提出した申告書の申告納税額が過小であった場合に課せられます。
この過少申告加算税の金額は、新たに納めることになった税金の10%相当額です。
ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%になります。
なお、税務署の調査を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。

2.無申告加算税

定められた申告期限までに申告をしなかった場合に課税されます。
この無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額となります。税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、5%の割合を乗じて計算した金額に軽減されます。
なお、次の要件を全て満たす場合には無申告加算税は課されません。

(1)その期限後申告が、法定申告期限から1カ月以内に自主的に行われていること。

(2)その期限後申告にかかる納付すべき税額の全額を、法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。

(3)その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税または重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。

 

3.不納付加算税

源泉所得税を納付期限までに納めなかった場合に課税されます。
この不納付加算税は、納付すべき税額に対して10%が課税されますが、税務署から指摘される前に、自主的に納付した場合には5%に軽減されます。
なお、正当な理由がある場合や法定納期限から1カ月以内にされた一定の期限後の納付の場合には、不納付加算税は課せられません。 

延滞税

税金が定められた期限までに納付されない場合、原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する延滞税が自動的に課されます。

例えば次のような場合には延滞税が課されます。

1.申告などで確定した税額を法定納期限までに完納しないとき。

2.期限後申告書または修正申告書を提出した場合で、納付しなければならない税額があるとき。

3.更正または決定の処分を受けた場合で、納付しなければならない税額があるとき。

いずれの場合も、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じた延滞税を納付しなければなりません。なお、延滞税は本税だけを対象として課されるものであり、加算税などに対しては課されません。 

おわりに

以上、税の申告漏れをしてしまった時のペナルティについて簡単にご説明しました。
ご自身で一生懸命計算をして正しく申告したと思っていても、間違えてしまっていると後から色々なペナルティが課されてしまうことがお分かりいただけたかと思います。慣れない税金の申告・納税については、是非経験豊富な専門家にご相談されることをお勧めいたします。

(文責:尾上)

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