相続登記
登記事項証明書②取得方法~オンラインでも申請できる?~
はじめに
①の記事で、不動産と切っても切れない間柄である登記事項証明書の基本的な事項をご紹介いたしました。
では実際に登記事項証明書を取得したいときは、どのような手続きを踏めばいいのでしょうか。
取得方法は全部で3種類ある!
まず大前提として、手数料さえ支払えば登記事項証明書は意外と簡単に取得することができます。
いち個人や法人の不動産の権利について記載してあるので、取得や閲覧についてなんだか厳格に規定されている気がしますが、実際はそうではありません。誰でも取得して閲覧することができます。
これは登記が、「この不動産は私のものです!」と不動産の権利を公示するためのものであり、売買やローン設定を考えている第三者が不動産の現況について確認できるようにするためのものであるから、という点が大きいです。
では実際に登記事項証明書を取得する方法をご紹介します。
まず大前提として、取得したい不動産の「地番」や「家屋番号」がわかっている必要があります。
地番は登記上の土地番号のことで、家屋番号は登記上の建物番号のことです。
よく利用する住所とは全く異なるものですので、住所では取得申請できません。ご注意ください。
地番や家屋番号の確認は下記のような方法で行うことができます。
〇毎年郵送される固定資産税課税・納税証明書を確認する 〇不動産の権利書(登記識別情報や登記済証)を見る 〇土地建物の所在地を管轄している法務局に確認する 〇管轄している市区町村役場に確認する 等 |
(1)窓口で直接受け取り・閲覧する
登記事項証明書は法務局で発行してもらえます。
管轄外の不動産であっても発行してもらえますので、
①法務局が近くにある方
②営業時間に足を運ぶことができる方
③地番や家屋番号の確認からお願いしたいという方
④請求に不安があって一から確認してもらいたいという方は、窓口での取得をおすすめします。
手数料に関して、実は取得方法によって異なります。
窓口取得の場合は1通600円となり、法務局で印紙を同時に購入し、申請書に貼り付けて提出することになります。
(2)郵送で取得申請する
法務局に直接行かなくても請求できる方法の1つが郵送申請です。
法務局ホームページから申請書をダウンロードして記入した上で、手数料の収入印紙を貼り付け、返信用封筒を添付して法務局に郵送します。
手数料は窓口の場合と同様に1通600円です。
(3)オンラインで取得申請する
いま法務局が利用者に推進しているのがオンラインでの取得です。
法務局に直接行かなくてもいいし、さらに手数料が他の方法よりも安くなっています。
【オンラインでの取得手数料】
・登記事項証明書を郵送で受け取る場合 500円
・申請だけオンラインで行い、窓口で受け取る場合 480円
懸念点としては、オンライン申請は「登記・供給オンライン申請システム」というものを使用して行うのですが、利用のためには利用者登録をまず行う必要があります。
登録に年会費などは不要ですが、ネット通販などをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。
手数料の支払いも電子納付することができます。
よって、特に苦手意識がない方はオンライン申請が一番スムーズでお得だと思います。
登記事項証明書にはいろんな種類がある
登記事項証明書には該当不動産の現在までの権利情報等が全て記載されているため、不動産によっては膨大な枚数になってしまうものもあります。
よって、自分に関係のある必要なところだけ発行してもらいたいときなど発行の仕方を指定することができます。
ここでは申請の際に選択できる、登記事項証明書の種類についてご紹介します。
(1)全部事項証明書
いままでの所有者、抵当権などすべての権利関係が記載されています。
特に調べたい情報が確定していなければ、こちらを請求すれば大丈夫です。
(2)現在事項証明書
今現在の権利関係のみ記載されます。
昔の所有者やローンを返済し抵当権が抹消された履歴など、過去の情報を載せたくないときはこちらを取得しましょう。
(3)一部事項証明書
大人数で共有している不動産の、1人の所有者についてだけ抜き出してもらいたいときに請求するものです。
例えば私道やマンションの敷地などが挙げられます。
確認したい所有者の名前を申請書に記載して請求します。
(4)所有者事項証明書
とにかく現在の所有者情報だけ載せておきたいときに請求します。
あまり使い道はないのですが、自分が所有者であることのみ証明したいときなどに利用します。
(5)閉鎖事項証明書
過去に閉鎖されている土地や取り壊されて今はない建物など、法務局で管理されている昔の事項を確認したいときに請求します。
おわりに
登記事項証明書(登記簿謄本)は不動産の履歴書と言えます。
相続登記をするとき、不動産売買をするとき、住所変更等登記した情報を変えるとき、非常にお世話になる書類です。
もし興味を持たれた方がいましたら、試しに自分に関係する不動産について登記事項証明書を取得してみるのもよいと思います。
実家の権利関係を調べてみると意外な権利関係が発覚するかもしれません。
(文責:坂本)