相続コラム

~相続財産(遺産)~
不動産の相続

2022.08.09

相続財産(遺産)

負動産を相続してしまった!~代表的な空き家の相続と処分方法についてご紹介します~

はじめに

「相続」と聞くと、一般的なイメージでは不動産の所有者になれたり預貯金を分配してもらえたり、なんだかいいことが多そうと感じるかもしれません。
しかし気を付けなければいけないのが、必ずしもメリットになる財産ばかりではないという点です。
相続したからといってメリットにはならず、反対に頭を悩ませてしまう可能性がある不動産のことを、言葉をもじって「負動産」と呼びます。 

「負動産」とはなにか

「負動産」とは、持っていることでコストばかりかかってしまったり相続人間で所有者となる人がなかなか決まらないなどといった、負担になるだけの不動産をいいます。
主な事例としては、被相続人(亡くなった方)が住んでいた家屋が地方にあり、相続人の中に特に住む予定のある方がおらず空き家になってしまっているケースです。
不動産は所有しているだけで固定資産税や管理費等がかかりますので、使用もしないのにお金だけが出て行ってしまうというマイナス財産を相続してしまうことになります。 

空き家対策特別措置法により固定資産税が増額されることも

平成25年2月に施行された「空き家対策特別措置法」により、自治体から「特定空き家」として認定された土地については税額が軽減されず、更地と同じ課税とされることになりました。
施行前は、空き家であっても200平方メートルまでの敷地部分に対しては、固定資産税を6分の1に軽減するという規定が適用されていましたが、特定空き家の場合は適用がなく固定資産税が高くなってしまうのです。
特定空き家とは、例えば建物に倒壊の恐れがあったり、建っていることで衛生上有害になる恐れがある建物を指します。 

では第三者に売ってしまおう!と思うかもしれませんが、近年地方の過疎化が進み地価も先行きが不透明な状況にあるため、あまり価値のない不動産を進んで購入しようという第三者も容易に見つかるものではありません。
建物を解体したとしても結局解体費用がかかりますし、固定資産税は更地の場合と同様に高くなってしまいますので、どうにもこうにも上手くいかないというわけです。 

負動産をどう処分していくか

あらゆる手段を考えても負動産の処分において問題が発生してしまう、という場合に取れる対応として、下記のような方法があります。

(1)リフォームして収益化する

今後も特に住む予定がないときは、空き家をリフォームして賃貸物件として活用するという方法があります。
もちろんリフォームする費用はかかってしまいますが、将来的に賃貸収益でプラスに転換できる可能性があるのであれば決して無駄ではありません。 

(2)空き家バンクを利用する

空き家バンクとは、各自治体のホームページなどに空き家情報を掲示し、空き家を買いたい人や借りたい人を探すサービスです。
近年空き家が増加傾向にあり、各自治体も空き家の所有や処分について問題視しているため、このようなサービスが始まりました。
通常の不動産仲介業者と異なり買い手や借り手と直接やり取りをする必要はありますが、空き家の処分や運用を行うための手段のひとつと言えます。 

(3)自治体や個人・法人に寄付する

売買ではなく寄付といった形式ですと貰い手が見つかる可能性が少し上がります。
注意していただきたいのは、個人への寄付ですと贈与税が、法人の場合ですと譲渡所得税が加算されることがあるという点です。 

(4)相続放棄をしてしまう

これは最終的な手段ではありますが、プラス財産もマイナス財産も全て承継せず相続人としての地位を放棄する「相続放棄」の意思表示をする、というのもひとつの手段です。
相続放棄には他の相続人の同意等必要ありませんので、単独で申請をすることができます。
ですが、自分が単独で相続放棄をすることで空き家の所有権については他の相続人が考えなければいけなくなりますので、後々のトラブルを防ぐために相続人間で話を通しておくことを推奨します。 

おわりに

今後少子高齢化がより進んでいき、空き家などの負動産を相続する事例が増えていく可能性は十分にあります。
負動産をいざ相続することになれば維持管理費の支払いに困ったり、適切な処分方法がわからず悩んでしまうことがあると思います。
お困りやお悩みの際は、負動産の取り扱いについて専門家にぜひ一度相談することを推奨します。 

(文責:坂本)

 

 

 

 

 

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