相続コラム

~遺産分割~
法定相続

2022.09.06

遺産分割

相続関係説明図とは?~作っておくと便利な相続関係が一目でわかる書類~

はじめに

相続手続きを行う際に作っておくと便利な書類として、相続関係説明図があります。
これは戸籍に記載されている情報をもとに家系図のように相続関係を図面化したもので、主に不動産の相続登記の時などに用います。
手続きにおいて作成が必須というわけではありませんが相続関係がひと目で確認できる書類であるため、関係機関への説明や提出書類の数を簡素化することができる、とても有益な書類です。 

具体的な記載内容は?

まず実際にどのような内容が記載されるのか、一例をご紹介します。

この相続関係説明図から読み取れることとして、下記のようなものが挙げられます。

・田中太郎が亡くなった。
・田中太郎の法定相続人は妻と子二人である。
・本件(例えば不動産)において遺産を相続するのは妻の花子と長男の一郎である。長女のかおりは相続しない。
・登記簿に記載されている所有者の「田中太郎」と亡くなった田中太郎は、住所が一致するため同一人物である。 

このように相続関係説明図を見ると、一目で関係や遺産分割協議の結果などがわかります。 

相続関係説明図の使い道

①不動産の相続登記申請の添付書類として

相続登記申請の際、場合によっては申請に必要な書類として、収集した戸籍一式をまとめて送付する必要があります。
その際、相続関係説明図に「相続を証する書面は還付した」という一文を添え戸籍とあわせて提出することにより、法務局側が認証印を相続関係説明図に押して保管してくれるので、代わりに戸籍一式を返送してもらうことができます。
相続手続きは不動産以外にも預貯金などで手続きが必要になることが一般的なので、登記手続き以外で戸籍一式を求められたときに戸籍を使いまわすことができ、再度戸籍を集めるといった無駄な手間や出費を防ぐことができます。 

②各種相続手続きの際の参考資料として

相続手続きでは預貯金の払戻しや裁判所を通した分割手続きなど、状況によって各関係機関に申請や届出をすることになりますが、その際に相続関係説明図を提示することで相続関係を説明する参考資料として活用できます。
特に相続人が多数に渡るような場合は戸籍のみですと説明に手間がかかってしまいます。
また、実際に相続関係説明図の提出をした方が手続きが早く済むというケースもありますので、やはり作成しておいて損はないかと思います。 

法定相続情報一覧図とのちがい

相続関係説明図と似た書類として、法定相続情報一覧図があります。
どちらも家系図のような形式で相続関係を証明する書類にはなりますが、法定相続情報一覧図は法務局を通して作成する公的な書類であり、相続関係説明図はあくまで任意的に作成する補足書類のようなイメージです。
例えば登記手続きの際に法定相続情報一覧図を提出すれば、それだけで戸籍一式や住民票等の代替書類として利用できますので、必要書類を省略することができます。
法定相続情報一覧図の利便性については別途コラムがありますので、ぜひご参照ください。 

おわりに

相続関係説明図は実務上でもよく活用されています。
厳格な書式はありませんのでご自身で作成しても大丈夫ですし、司法書士などの専門家に作成を任せてしまっても大丈夫です。
作成も比較的容易なので(戸籍等の書類収集は少々大変ですが…)作っておいて損はない書類です。
興味を持たれた方はぜひ作成に挑戦してみてください。 

(文責:坂本)

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