遺言
エンディングノートとは?法的効力はあるの?
エンディングノートとは?
エンディングノートは、自分の死後または終末期における希望について記しておくものです。財産について、ペットについて、延命治療について、お墓について…など、自分の状況や希望を細かく記しておくことができます。
エンディングノートと遺言書の違い
エンディングノートは遺言書と違い、どんなに詳細に書いても法的な効力はありません。エンディングノートをもって預金の払い出し手続きや不動産の相続登記は出来ません。あくまで希望を書いておくもの、というイメージで良いかと思います。
特定の財産を特定の相続人に渡したい等、相続に関して希望がある場合は、遺言書を作成しましよう。
エンディングノートの書式
エンディングノートは法的な書類ではありませんから、どんな書式で作成しても大丈夫です。書店で好きなデザインのものを選ぶのも良いですし、パソコンやノートで自由に記載しても構いません。ただ、記載すべき事項はある程度決まっていますので、記載に当たり既存の書式を参考にすると、残された人も見やすいのではないでしょうか。
エンディングノートには何を書く?
エンディングノートは何を書いても自由とはいえ、ある程度書くべき事項というものはあります。
氏名・住所・本籍
誰が記したものかはっきりとさせるため、これらの記載は必要です。正確な本籍が分からない方もいるかと思いますので、その場合は不明としておいても大丈夫です。
財産・契約に関する情報
どこにどのくらいの財産があるのか、明らかにしておきます。契約書や登記に関する書類の保管場所も、できれば書いておきましょう。金融機関の暗証番号をここに書くかどうかは意見が分かれるところです。もし紛失してしまった際に悪用される恐れがありますので、どうしてもという場合は、暗証番号は信頼できる人に口頭で教えるのみとしても良いでしょう。
また、資産となる財産だけでなく、ローンや借入等の負債があれば、そちらも記載します。
終末期に関する希望
延命治療の有無や最期の時をどこで過ごしたいか、臓器提供について、余命の告知をして欲しいか等を書いておきます。最終的には家族が判断することになるかもしれませんが、自分の意思を示しておくことで、家族の心の負担を軽くすることができるでしょう。これは遺言書に記載するのにはなじまない事項ですので、エンディングノートならではと言えます。
葬儀に関する希望
葬儀の規模、希望のお寺、お墓の場所などを記載します。散骨や樹木葬など、特別な方法を希望する場合は、残された家族のためにもできれば業者まで調べておきましょう。
亡くなったことを知らせて欲しい友人・親類
夫婦間であっても、配偶者のきょうだいの連絡先などは意外に把握していないものです。友人ともなればなおさら本人にしか分からない関係ですので、しっかりと記載しておく必要があります。また、知らせてほしくない方がいれば、その旨も記載しておくと良いでしょう。こちらも通常遺言書には記載しませんので、このような記載ができるのはエンディングノートを利用する利点と言えます。
遺言書の有無
遺言書があれば、自筆か公正証書か、保管場所はどこか等を書いておきましょう。ない場合も「遺言書はない」と書いておくことで、家族が遺言書を探したりする手間を省けます。
その他
家族へのメッセージや遺影について等、気がかりなことは何でも書いておきましょう。ペットがいれば、ペットの引き取り先やかかりつけの病院なども書いておきます。
おわりに
エンディングノートは法的効力はありませんが、自身の死後・終末期の希望を整理するのにとてもよいツールです。エンディングノートを書いたことで、遺言を残そうという気持ちも芽生えるかもしれません。エンディングノートと遺言書は性質の違うものですので、両方あっても全く問題ありません。ただし、確実に財産を残してあげたい相続人がいる場合は、遺言書の作成を検討しましよう。
(文責:川上)