相続コラム

~遺言~
遺留分

2022.08.17

遺言

最低限相続できる「遺留分」とは?

遺留分とは

遺留分とは、一定の相続人に保証された、最低限相続できる相続分です。たとえ「愛人に全て遺贈する」という内容の遺言書があったとしても、配偶者や子供の相続分は保証されます。

遺留分には、残された遺族の生活を保障する意義があります。自分の遺産といえども、完全に好きに処分できるとは限らないということになります。

一定の相続人とは

遺留分が認められるのは、配偶者・直系卑属(子や孫)・直系尊属(親や祖父母)のみです。兄弟姉妹には遺留分はありません。

逆に言えば、兄弟姉妹に相続させたくないというときは、遺言を残しておけば遺産の散逸を防ぐことができます。

遺留分ってどのくらい?

遺留分の計算は、相続人によって2パターンあります。

1、相続人が直系尊属のみの場合

この場合は遺産全体の3分の1が遺留分です。

2、それ以外の場合

1の場合以外、遺留分は遺産全体の2分の1です。

 

1、2のパターンに当てはまる割合に、該当する相続人の法定相続分の割合を乗じます。その割合が、個別の遺留分です。

例:相続人が配偶者及び子供一人の場合

この場合は2に当てはまりますので、遺産全体の2分の1が遺留分です。例の場合、法定相続分は配偶者・子ともに2分の1ずつですので、これを乗じて各4分の1ずつが個別の遺留分となります。

遺留分を侵害している遺言

遺留分を侵害する内容の遺言書でも、もちろん自由に作成することができます。その場合は付言事項として、なぜ偏った配分にしているのか、そうしたかった自身の気持ちなども一緒に書いておくことが一般的です。

例えば「ずっとそばで介護をしてくれて、最後までさみしい思いをすることなく過ごせた」等という内容です。遺留分を侵害していても、相続人全員が納得していればその遺言書通りに分配が可能です。

対して、遺留分をめぐって争いになりそう、確実に自身の遺留分を主張してきそうな相続人がいそうな場合は、遺留分相当額の金銭を遺言で残すことも考えた方が良いでしょう。

遺留分は何もしないともらえません

遺留分が保証されている、と聞くと、何もしなくても自動的に自身の遺留分が確保されそうな気もしますがそうではなく、遺留分を主張する場合はきちんと請求しないともらうことは出来ません。この手続きは遺留分侵害額請求という手続きになり、弁護士に依頼するのが一般的です。

遺留分侵害額請求については別コラムにありますので、そちらをご参照ください。

(文責:川上)

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