相続コラム

~遺言~
遺言書の書き方

2022.10.11

遺言

秘密証書遺言

はじめに

「秘密証書遺言」はあまり聞きなじみがないと思いますが、実は私も相続の仕事にかかわってからまだ一度もお目にかかったことがありません。自筆証書よりも手間や費用がかかる、記載に不備があると無効になるなどの確実性に欠ける等の理由により、利用は非常に少ないようです。
メリットとしては、遺言書を改ざんされる恐れがない、遺言の内容を秘密にしておくことができる、費用が安いということがあげられます。
では、どのようにして作成するのかをみていきましょう。 

作成手順

  1. 遺言者が遺言の内容を記載した書面に署名・押印
  2. これを封に入れて、遺言書に押印した印章と同じ印章で封印
  3. 公証人及び証人2名の前にその封書を提出して、①自己の遺言書であること、②その遺言書の筆者の氏名と住所を述べる
  4. 公証人がその封紙上に日付と遺言者の申述を記載
  5. 遺言者と証人2名とともにその封紙に署名押印する 

 公証役場での作成手数料は11,000円です。 

注意すること

遺言書の本文、日付、住所は自書しなくてもよいので、点字によるほか、パソコン等を用いて文章を作成しても、第三者が筆記したものでもかまいませんが、署名は必ず遺言者自身がしなければなりません。また、他人に書いてもらったり、パソコンを使って作成した場合には公証人と証人の面前で筆者の住所と氏名を述べなければなりません。筆者の住所と氏名を述べなかったために無効となった事例もあります。

証人不適格者が証人になっているかどうかは、公証人は遺言の内容を知ることができないため、遺言者が自分で判断しなければいけません。証人2名のうち、1名が不適格になると証人が1名しかいないことになり無効となってしまいますのでご注意ください。ただし、証人の要件を欠いたり、遺言書の印と封筒の印が異なっていて秘密証書遺言として無効であったとしても、自筆証書遺言の要件を満たしていれば、自筆証書遺言として有効と認められます。

また、遺言書の内容については公証人の関与がないので、自筆証書遺言と同様に家庭裁判所の検認が必要です。見つけた方は開封しないようお気を付けください。 

おわりに

秘密証書遺言は公証人に確認をしてもらい、作成した記録が公証役場に残りますが遺言書の保管は自分でしなければいけません。わかりにくいところで保管していたため発見されなかったり、隠匿や廃棄の可能性もあります。弊所では、遺言執行者に指定いただいた場合に保管・管理も承っておりますので、保管や管理に不安を感じる方は是非ご相談ください。 

(文責:高橋)

 

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