相続コラム

~相続に関する税金~
贈与税

2022.11.04

相続に関する税金

暦年贈与と都度贈与って?~子供や孫を金銭面でサポートしたいとき~

はじめに

子どもや孫を金銭的にサポートしたい場合に利用できる制度として、教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与の非課税特例などがあります。
しかしこれらの制度を利用しなくても、暦年贈与と都度贈与を上手に利用すれば、贈与税をかけずに金銭的サポートをすることは可能です。
本稿では、その暦年贈与と都度贈与についてご紹介いたします。 

暦年贈与

年間110万円以下の贈与については、贈与税がかかりませんし、申告の必要もありません。
これを利用して、毎年110万円以下の金額をコツコツと子どもや孫に贈与するという方法があります。

ただし、正しい方法で暦年贈与をしないと、非課税で贈与できたと思っていたのに贈与税や相続税がかかってしまう可能性があります。

まず、連年贈与とみなされない工夫が必要です。連年贈与とは、毎年繰り返し贈与を行うことです。
例えば、20年間毎年100万円ずつ贈与するという約束をした場合、1年ごとの贈与でなく、
約束した年に定期的にお金をもらう権利を得たとして、2,000万円全額に対して贈与税が課されてしまいます。
約束していないと言い張っても、毎年同じような金額のやり取りをしていた場合には税務署に疑われてしまいます。

これを防ぐための方法としては、贈与毎に契約書を作る・贈与の時期を変える・贈与の金額を変えることが有効です。
毎年110万円以下の範囲内で、気まぐれに贈与しているという状態にすることが大切です。

次に、名義預金とみなされない工夫が必要です。
名義預金とは、親が勝手に子ども名義の口座を作って毎年100万円ずつ積み立てている場合などが該当します。
この口座の名義は子どもであっても実質的には親のお金で、贈与の約束もされていません。
この状態で親が亡くなったら、子ども名義のこの口座は、親の財産として相続税の対象になります。

これを防ぐための方法としては、贈与契約書を作成する・贈与者と受贈者の銀行印(届出印)は別のものを用いる・届出印、通帳、キャッシュカードは名義人の責任で管理する・名義人が自由に預金を使えるようにする・贈与された預金を少し使っておくことが有効です。
あげた側からもらった側にきちんと贈与がなされたという証拠を残しておき、もらった側が自由にそのお金を使っている状態にすることが大切です。 

都度贈与

都度贈与とは、 その都度、ある目的のために1回で全額使い切ってしまえば贈与税はかからない、という制度のことです。
例えば、子どもや孫などの通常必要な生活費・教育費、出産資金、結婚資金・新居にまつわる家具資金、子供や孫の家賃など、親や祖父母が支払った場合、贈与税はかかりません。

注意点としては、贈与を受けた資金を目的以外の事に使ってしまったら、その部分には贈与税が課せられてしまうことです。
例えば、生活資金や教育資金として数年分一括して贈与を受けたとしても、一度には使いきれないからと貯金に回して株の購入や車の購入といった本来の目的以外に使った場合は、贈与税が課せられます。

また、「通常必要な範囲」という文言にも注意が必要です。明確な基準はありませんが、あまりにも贅沢ができてしまうような金額だと、税務署から指摘されてしまう恐れがあります。

都度贈与を利用する場合には、必要な分だけを必要なタイミングでその都度贈与することが大切です。 

おわりに

以上、暦年贈与と都度贈与の活用についてご紹介しました。

ご自身やお子様・お孫様の生活スタイルによって、暦年贈与・都度贈与・一括贈与のどれを利用するのが最適かというのは変わります。
また、ご自身でうまくやったつもりでも思わぬところで税務署から指摘を受けてしまうということもあるかもしれません。
子どもや孫へ金銭的サポートをしていきたい・節税もしたいとお考えの方は、是非経験豊富な専門家へご相談されることをお勧めいたします。

(文責:尾上)

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