相続コラム

~相続登記~
登記の基本知識

2023.05.08

相続登記

履歴事項全部証明書とは? 登記上の会社情報が一目でわかる会社の履歴書

はじめに

登記簿には不動産に関する登記事項証明書の他に、会社に関する情報が登記されている登記事項証明書があります。
履歴事項全部証明書とは会社に関する登記事項証明書の1つで、基準日から現在に至るまでの会社情報が記載されている書類です。
税務署や各市区町村に届け出る際に提示を求められることがあり、登記手続きの際にも現在の状況を確認するために司法書士に提示することがあります。
今回は会社の履歴書ともいえる登記事項証明書の、主に履歴事項証明書についてご紹介します。 

会社の登記事項証明書ってどんな種類があるの?

会社の登記事項証明書には、主に4種類の様式があります。
記載されている情報が異なりますので、請求の際はまずどの登記事項証明書が必要なのか確認が必要です。 

(1)履歴事項証明書

履歴事項証明書には、基準日となる交付請求日から3年前の年の11日から請求日までの会社情報が記載されています。
例えば令和4年8月1日に交付請求を行った場合、令和元年の1月1日以降の会社情報を確認することが可能です。
該当期間中の商号変更や役員変更など、変更や抹消された情報も記載されていますので、直近でどのような変更がされているのか確認したい場合に役立ちます。 

記載されているのは主に下記のような項目です。

  • 会社法人等番号
  • 商号
  • 本店の住所
  • 設立年月日
  • 目的
  • 資本金の額
  • 役員に関する事項 等

 

(2)現在事項証明書

現在事項証明書には現在効力がある会社の登記情報が記載されています。
原則として過去抹消されたり変更されたりした事項は掲載されず、あくまで現在の状況のみを確認・証明するために使用します。 

(3)閉鎖事項証明書

前述した履歴事項証明書に記載されない過去の情報や、解散、吸収合併、組織変更などを行った会社の情報を確認するために使用します。 

(4)代表者事項証明書

会社の代表者に関する情報が主として記載されている書類です。
記載されているのは会社法人等番号、商号、本店の住所とあわせて、代表者の住所、代表者の氏名、肩書です。 

また、前述した登記事項証明書はさらに「全部事項証明」と「一部事項証明」で分けられます。
一部事項証明を利用すると、さらに選択した部分(区といいます)についてのみ記載をしてもらえます。
主によく使われるのが履歴事項全部証明書ですので、提出先の指定がなく迷った場合は履歴事項全部証明書を請求するのがよいでしょう。 

履歴事項全部証明書等の取得方法

(1)窓口で直接受け取り・閲覧する

窓口取得の場合は1通600円となり、法務局で印紙を同時に購入し、申請書に貼り付けて提出することになります。 

(2)郵送で取得申請する

法務局ホームページから申請書をダウンロードして記入した上で、手数料の収入印紙を貼り付け、返信用封筒を添付して法務局に郵送します。
手数料は窓口の場合と同様に1通600円です。 

(3)オンラインで取得申請する 

オンラインでの取得手数料は他の2つの手段よりお得になっています。

【オンラインでの取得手数料】

  • 登記事項証明書を郵送で受け取る場合 500円
  • 申請だけオンラインで行い、窓口で受け取る場合 480円 

手数料の支払いも電子納付することができますので、手続きとしては一番お手軽だと思います。 

有効期限がある場合は注意!

取得した後の話ですが、履歴事項全部証明書等の提出が求められる場合、同時に有効期限内のものであることを求められるときがあります。
有効期限は明確には法定されていませんが、よくあるのは「発行から3か月以内のものを提出してください」というケースです。
履歴事項全部証明書等には発行日が記載されていますので、この日付が有効期限内であるかどうか、提出の前に確認する必要がありますのでご注意ください。 

おわりに

履歴事項全部証明書は、会社設立の届け出や従業員を雇用した場合の届け出、社会保険の加入手続きなど、会社名義で手続きを行う際に提出を求められます。
もし頻繁に使用する可能性があれば、定期的に取得し有効期限内のものを準備しておくのもよい手です。
取得手続きも容易にできますので、確認したい事項がある方はぜひお試しください。

(文責:坂本)

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