相続コラム

~相続に関する税金~
贈与税

2023.12.19

相続に関する税金

直系尊属(父母、祖父母など)から住宅取得等資金を受け取ったとき

 

はじめに

父母や祖父母などから住宅取得のための資金の贈与を受けた場合で、一定の要件を満たすときは、贈与税の申告をすることにより一定の金額について贈与税が非課税となる制度があります。

うまく活用すれば、もちろん住宅購入や増築の際に非常に助かりますし、将来的には相続税の節税対策にもなりますので、是非知っておいていただきたい制度です。

本稿では制度の概要や要件等をまとめてご紹介いたします。 

制度の概要

平成2711日から令和31231日までの間(税制改正により令和41231日まで延長予定)に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。

 

非課税限度額

受贈者ごとの非課税限度額は、次の1または2の表のとおり、新築等をする住宅用の家屋の種類ごとに、受贈者が最初に非課税の特例の適用を受けようとする住宅用の家屋の新築等に係る契約の締結日に応じた金額となります。

1.下記2以外の場合

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日

省エネ等住宅

左記以外の住宅

~平成271231

1,500万円

1,000万円

平成2811日~令和2331

1,200万円

700万円

令和241日~令和31231

1,000万円

500万円

2.住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日

省エネ等住宅

左記以外の住宅

平成3141日~令和2331

3,000万円

2,500万円

令和241日~令和31231

1,500万円

1,000万円

※既に非課税の特例の適用を受けて贈与税が非課税となった金額がある場合には、その金額を控除した残額が非課税限度額となります(一定の場合を除く)。

 ただし、上記2の表における非課税限度額は、平成31331日までに住宅用の家屋の新築等に係る契約を締結し、既に非課税の特例の適用を受けて贈与税が非課税となった金額がある場合でも、その金額を控除する必要はありません。

 また、平成3141日以後に住宅用の家屋の新築等に係る契約を締結して非課税の特例の適用を受ける場合の受贈者ごとの非課税限度額は、上記1,2の表の金額のうちいずれか多い金額となります。

※個人間の売買で、建築後使用されたことのある住宅用の家屋(中古住宅)を取得する場合には、原則として消費税等がかかりませんので上記ロの表には該当しません。

 

受贈者の要件

次の要件の全てを満たす受贈者が非課税の特例の対象となります。

1.贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。

  ※配偶者の父母(又は祖父母)は直系尊属には該当しませんが、養子縁組をしている場合は直系尊属に該当します。

2.贈与を受けた年の11日において、20歳以上であること。

3.贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下(新築等をする住宅用の家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は、1,000万円以下)であること。

4.平成21年分から平成26年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと(一定の場合を除く)。

5.自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、またはこれらの方との請負契約等により新築若しくは増改築等をしたものではないこと。

6.贈与を受けた年の翌年315日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。

  ※受贈者が「住宅用の家屋」を所有する(共有持分を有する場合も含む)ことにならない場合は、この特例の適用を受けることはできません。

7.贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること(受贈者が一時居住者であり、かつ、贈与者が外国人贈与者または非居住贈与者である場合を除く)。なお、贈与を受けた時に日本国内に住所を有しない人であっても、一定の場合には、この特例の適用を受けることができます。

8.贈与を受けた年の翌年315日までにその家屋に居住すること、または同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。

  ※贈与を受けた年の翌年1231日までにその家屋に居住していないときは、この特例の適用を受けることはできませんので、修正申告が必要となります。

 

住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の要件

「住宅用の家屋の新築」には、その新築の敷地の用に供される土地等の取得を含み、「住宅用の家屋の取得又は増改築等」には、その住宅の取得又は増改築等とともに、その敷地の用に供される土地等の取得を含みます。また、対象となる住宅用の家屋は日本国内にあるものに限られます。

(ア)新築又は取得の場合の要件

1.新築又は取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が40㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。

2.取得した住宅が次のいずれかに該当すること。

  ①建築後使用されたことのない住宅用の家屋

  ②建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの

   ※耐火建築物とは、登記簿に記録された家屋の構造が鉄骨造、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造などのものをいいます。

  ③建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、地震に対する安全性に係る基準に適合するものであることにつき、一定の書類により証明されたもの

  ④上記②及び③のいずれにも該当しない建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その取得の日以後に耐震改修を行うことにつき、取得の日までに一定の申請書等に基づいて都道府県知事などに申請をし、かつ、贈与を受けた翌年315日までにその耐震改修により耐震基準に適合することとなったことにつき、一定の証明書等により証明がされたもの

(イ)増改築等の場合の要件

1.増改築等後の住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が40㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。

2.増改築等に係る工事が、自己が所有し居住している家屋に対して行われたもので、一定の工事に該当することについて、「確認済証の写し」、「検査済証の写し」または「増改築等工事証明書」などの書類により証明されたものであること。

3.増改築等に係る工事に要した費用の額が100万円以上であること。また、増改築等の工事に要した費用の額の2分の1以上が、自己の居住の用に供される部分の工事に要したものであること。 

非課税の特例の適用を受けるための手続

非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年21日から315日までの間に、非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に戸籍の謄本、新築や取得の契約書の写しなど一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出する必要があります。 

おわりに

以上、直系尊属から住宅取得等資金を受け取った時の非課税の制度についてご紹介しました。

本制度は要件が非常に細かく、またご自身やご家族の状況によってどれくらいの節税効果が出るのかも変わってきます。利用をご検討される場合は、経験豊富な専門家へご相談されることをお勧めいたします。

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